町屋の内部空間
公開日 2014年11月23日
更新日 2021年03月23日

主屋 ミセ(店・見世)

主屋 ミセ(店・見世)
通りに大きく開いた部分で、商家では商品が並び、職人の家では作業場、 また、旅籠などでは宿泊客の荷物や籠などがおかれました。
前面の建具はすりあげ戸で、柱も取り除くことができ非常に開放的です。しかし、明治時代も中頃になり、鉄道が開通して街道を通る旅行者が減少すると、出格子戸を設けて居室として整備することが多くなります。
かって・通り土間

かって・通り土間
通り土間から続くカッテは、吹き抜けの大空間です。カッテにはかまど、 流しなどがあり、日常の炊事が行われていました。吹き抜けは煙抜きのためで、 上部に見える梁などは、真っ黒に煤けています。カッテは角屋まで続いている場合もあります。
生活に使われる水は、それぞれの敷地に井戸が供えられていました。また、炊事・風呂・雨樋などの排水は敷地裏に流されるか、通り土間を通して表の排水溝に流されていました。
坪庭

坪庭
母屋と離れ、便所・風呂などがある角屋に囲まれた場所には中庭がとられ、 坪庭となります。通風・採光などの面で、町屋の暮らしを支える重要な存在です。 主屋の規模は奥行6間程度であるため、坪庭は隣家でもほぼ同じ位置にあり、小さな緑地帯が形作られています。
納屋・土蔵

納屋・土蔵
屋敷の奥まった位置には、納屋・土蔵・裏口などが設けられるほか、 裏庭や菜園としても使われました。納屋は農作業などに使われる道具類を収納する建物で、土蔵は防火用に土壁で塗籠た建物です。土蔵はその用途により、穀蔵・醸造蔵・文庫蔵などに分かれます。
離れ

離れ
主屋の奥には離れが続きます。離れは商家では隠居屋などとして使われますが、旅籠では上等な客を泊める離れ座敷となるものがあります。離れ座敷は床・書院などを備え、欄間彫刻や襖絵などに凝った意匠の装飾が施されるなど、屋敷内で最も造りが良い座敷になります。