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鈴鹿関跡(新所城跡)について

公開日 2025年04月30日

更新日 2025年04月30日

 令和5~6年の2カ年にわたり実施してきた鈴鹿関跡(新所城跡)の学術調査について一定の成果が得られましたので、その内容について公開します。今後は、今回得られた成果を分析するとともに、引き続き鈴鹿関跡の全容解明とその保存活用を図っていきます。

令和5~6年度鈴鹿関跡学術調査について

 「鈴鹿関」は、不破関(ふわのせき:岐阜県関ケ原町)・愛発関(あらちのせき:福井県敦賀市)と並んで、律令三関(りつりょうさんげん)と呼ばれる古代に設けられた3つの関のひとつで、わが国の古代史を解明する上で欠かすことのできない遺跡です。
 亀山市では、平成18年度から鈴鹿関跡の範囲や構造を確認するための学術調査を継続的に行っており、その成果を踏まえて、鈴鹿関の西辺を区画すると考えられる築地塀跡(ついじべいあと)が令和5年3月に国史跡に指定されました。  
 指定後、その全容解明と適切な保存とその活用を図るため、令和5~6年度の2カ年にわたって国の補助事業として鈴鹿関跡の一部と考えられる亀山市関町新所地内の独立丘陵である「城山」(標高153m)全体の測量調査を行いました。
 

鈴鹿関跡(新所城跡)のレーザー測量と立体赤色図

 鈴鹿関跡の国指定範囲の南側に位置する、「城山」は、戦国時代末に関氏が築いたとされる山城である新所城跡が所在することで知られています。同時に、城山全体が鈴鹿関跡に含まれている可能性が高いと考えられています。しかしながら、広範囲で草木が茂る山中で鈴鹿関跡に関連するとみられる痕跡(遺構:いこう)を把握することは困難です。また、戦国時代の新所城跡の遺構と鈴鹿関跡の遺構の識別も必要となります。
 このため、令和5年度から2カ年をかけて城山全体のレーザー計測を行い、その成果をもとに令和6年度に市費で地形の赤色立体図化を行いました。レーザーによる地形計測は、地表にレーザー光を照射し、反射したレーザー光により距離を計測して三次元データ化するもので、樹林などが生い茂っていても隙間を通過して地形が計測可能なことから、従来の写真測量と比べて精度の高い測量が可能です。
 赤色立体地図は、レーザーによる地形計測の結果を可視化するために開発された方法で、これまでの等高線による地形図では表現できなかった詳細な地形を赤い色の濃淡と明暗を用いて表現した図です。これによって、実際の地形を立体的に見ることができます。

城山赤色立体地図(公開用)[PDF:7.08MB]

調査成果

 今回作成した赤色立体図から、新所城跡に関係する遺構群を明瞭に読み取ることができます。同時に北側尾根の頂上付近から谷までの土手状の高まり(土塁:どるい)の形状も明確に把握することができました。この土塁状の遺構はこれまでにもその存在は把握されていましたが、鈴鹿関跡の西辺築地塀跡の北端にあたる観音山に同じような土塁状遺構が見られることから、城山の土塁状遺構も鈴鹿関跡の一部であった可能性が考えられます。
 また、東側尾根頂上の区画(曲輪:くるわ)の東端に櫓などの建物が建てられていた可能性がある方形の土台や、折れ曲がって曲輪に入る出入り口(虎口:こぐち)など、16世紀末頃(織豊期:しょくほうき)の城郭の特徴を確認することができました。
 このように、赤色立体図を詳細に分析することで、今後の踏査や発掘調査実施の計画や類似する各地の遺跡との比較検討などを行うことが可能となり、鈴鹿関跡解明に向けての基礎資料の整備を図ることができました。
      

今後について

 今後は、この図を分析して鈴鹿関跡に関連する遺構を抽出し、鈴鹿関跡の全容の解明とその保存活用を図っていきます。また、今年度は、城山以外の鈴鹿関跡全体の赤色立体図を作成し、広範にわたって地形の分析を行う基礎資料の整備を図っていきたいと考えています。

お問い合わせ

市民文化部 文化課 まちなみ文化財グループ
住所:〒519-1192 三重県亀山市関町木崎919番地1
TEL:0595-96-1218
FAX:0595-96-2414

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