亀山市ホーム

このページの本文へ移動

地方行政(平成22年7月)

公開日 2014年11月23日

更新日 2014年11月23日

この寄稿文は、時事通信社発行の「地方行政」平成22年7月29日(木)第10161号に掲載されたものです。

 2000年の地方分権一括法の制定以降、地方分権に向けた潮流は、確実に加速しつつある。この10年間、国も地方も試行錯誤のなかにあったが、未だ道半ばであり、今後の国の地域主権改革の進展に期待したい。

 一方で、まさに今「地域のチカラ」が問われていると考える。当然ながら、「団体自治」としての行政経営や税財源の強化を志向するにとどまらず、自治体が強い自律の意思を市民と共有し、真の自治を創りだしていく「住民自治」の力を高めることに挑戦しなければならない。地域社会を構成する異なる立場の市民が、その利害や対立を乗り越え相互理解と協働により、地域課題の解決やコミュニティの維持・再生への実践を積み重ねることこそ尊いと思う。この春、亀山市はその考え方のもと、情報の共有・協働・持続可能性など9つの基本原則を明示した「まちづくり基本条例」を制定した。

 さて、先般4月30日、市内すべての幼稚園と小中学校を休校とし、7連休による「家族の時間づくりプロジェクト」を実施した。市内の公共施設の無料開放、学童保育所の開設、地元企業への呼びかけなど全庁的に展開したが、この取り組みは、国の観光庁が提唱する有給休暇取得促進・休日分散化の実証実験に賛同し参加したものである。賛否両論あったこのような取り組みは、法改正や国・県の許可がないと出来ないものだという先入観があった。しかし、他の政策領域においても、このような先入観と惰性に流されることなく、現在の法制度においても新たな取り組みが可能であるとの「気づき」が、市職員の意識のなかに芽生えたことが何よりも大きかった。

 自分たちの判断や懐具合で物事を決め、自分たちで責任をとる。それは簡単なようで困難さが伴う。そんな分権時代を生き抜く覚悟と実践から、地域主権の『亀山モデル』が生まれるものと確信している。