教育行政現況報告
公開日 2025年05月30日
令和7年6月亀山市議会定例会の開会に当たり、教育行政の現況と今後の見通しについてご報告し、議員並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
まず、教育に関する国の情勢につきましては、昨年12月、中央教育審議会に「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」諮問がなされました。「質の高い、深い学びを実現し、わかりやすく使いやすい学習指導要領の在り方」、「多様な子どもたちを包摂する柔軟な教育課程の在り方」等を論点とし、新たな時代にふさわしい学習指導要領の改訂への準備が進められています。
次に、県の情勢につきましては、令和6年度からの4年間を計画期間とする「三重県教育ビジョン」を基に、子どもたちの一人ひとりの可能性を最大限に引き出すことを基本姿勢とし、「自立する力」、「共生する力」、「創造する力」を子どもたちに育みたい力として掲げ、それぞれに対応した教育施策を引き続き推進していくこととしています。
こうした中、本年4月1日に県立夜間中学校「みえ四葉ヶ咲中学校」が開校いたしました。現在のところ、県内各地より、夜間中学コースに40名程度、学びの多様化学校コースに30名程度の生徒が通うと聞き及んでいるところです。
このような情勢を踏まえ、教育委員会といたしましては、各種計画の進捗管理を行うとともに、学校及び家庭・地域との連携・協働を図りながら、重点的な取り組みを着実に進めてまいります。
それでは、それぞれの事業進捗について、学校教育関係からご説明申し上げます。
まず、子どもたちの学力・学習状況につきましては、「亀山市学力向上推進計画(第4版)」に沿った取り組みを進めるとともに、先月実施した「全国学力・学習状況調査」及び「みえスタディ・チェック」等の活用を踏まえ、引き続き個に応じた指導や授業改善に取り組んでまいります。また、これまで市内の子どもたちは、全国や県と比べると「授業以外で勉強する時間が短い」という課題があります。家庭に帰ってからの時間の使い方が、ゲームやスマートフォン、SNSや動画視聴等に多く使われているという調査結果もあり、家庭での過ごし方やメディアと接する時間、ネットモラル等について、各家庭と連携して考えていく機会を設けてまいります。
さらには、県教育委員会と連携し、若手教員等の授業力向上のため、授業力向上アドバイザーをモデル校に派遣して、授業や校内研修への指導・助言を行うとともに、中学校区や学校規模に応じた研修など、学校を越え学び合う機会を設けることといたします。
次いで、学力及び体力の向上に関する取り組みとして、すべての小中学校において、年3回の「Kameyama Study Week」と年2回の「Kameyama Sports Week」を設定し、基礎的、基本的な学習内容の確実な定着や、体を動かす習慣づくりを各校の実情に応じて進めているところです。先月に実施した「Kameyama Study Week」では、年度当初ということもあり、学習の規律、ノート指導、話し方や聞き方など、安心して授業を行うための約束事や、前学年までに習ったことの復習に取り組みました。
情報教育につきましては、引き続き「亀山市版ICT運用ガイドブック」の周知・活用を図り、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の取り組みにつなげてまいります。また、教科書や問題集のデジタル化に合わせ、動画や音声等の教材と組み合わせた授業を構成し、児童生徒の理解を深めるとともに、学びの質の向上を図っているところでございます。
なお、本年度中の更新が必要となる指導者用端末及び校務用端末につきましては、リース契約による機器の更新を予定していましたが、デジタル活用推進事業債を活用して機器を購入するため、本議会に関係経費の予算補正を提案しております。
次に、いじめ防止対策につきましては、「亀山市いじめ防止基本方針」及び各学校の「いじめ防止基本方針」に沿った取り組みを引き続き着実に実践してまいります。先月のいじめ防止強化月間では、各学校において、児童生徒によるあいさつ運動やピンクシャツ運動、いじめ防止標語の取り組みやいじめ防止に関する保護者への啓発を実施することができました。さらに、全ての小学校において、県教育委員会が弁護士とともに作成した動画教材を活用した「いじめ予防授業」の実施を予定しているところです。引き続き、保護者等と連携したいじめ防止に取り組んでまいります。
次いで、不登校への対応といたしましては、昨年度から市内全ての小中学校に「校内ふれあい教室」を設置しており、教室への入りづらさを感じる児童生徒の居場所として、子どものペースに合わせた学習のサポートや、相談等を実施できる体制を整えています。昨年度は、この校内ふれあい教室が児童生徒にとって安全安心な居場所となっており、新たな不登校児童生徒の減少につながったと考えています。加えて、本年度は校内教育支援センターの利用状況に応じて「校内教育支援センター支援員」を配置し、指導・相談体制の充実を図っているところです。また、NPO法人「フリースペースかめっこ」と連携した教職員の研修や、児童生徒の県内高等学校等への進路相談、さらには市立図書館の一部を活用した「サークルルーム」における学習や教育相談対応等につきましても、引き続き取り組んでまいります。
次に、今後の中学校部活動の在り方につきましては、国や県の動向を注視するとともに、他市町との情報交換、また昨年度実施した児童生徒や保護者等へのアンケート結果や課題を健康福祉部等とも共有しながら連携を図り、休日の部活動の地域展開等の準備を進めているところでございます。
続きまして、中学校給食関係について、ご説明申し上げます。
まず、中学校全員喫食制給食実施事業のうち、亀山中学校における埋蔵文化財発掘調査支援業務につきましては、今月21日に契約を締結し、調査業務に着手したところであり、来月中に完了する予定です。加えて、亀山中学校及び中部中学校における配膳室等の整備工事につきましては、工事発注に向け、現在諸手続きを鋭意進めているところでございます。
また、運営面におきましては、関係者の意見等も踏まえつつ、給食調理等業務の受託業者と具体的な協議を重ねているところであり、令和8年度早期の中学校全員喫食制給食実施に向け、準備を進めているところでございます。
続きまして、生涯学習関係について、ご説明申し上げます。
まず、地域の学び推進事業につきましては、かめやま人キャンパスと公民館事業を軸として、SNSを活用した地域の魅力を情報発信していく「まちのインフルエンサー養成講座」等を展開するほか、「亀山市の方言と服部四郎」と題した中央公民館講座など、様々な学びを提供してまいります。また、高等学校や大学、県環境学習情報センター等とも連携しながら「ワードの基礎から応用までを学ぼう」、「ロボットの世界」、「ドッグケアを学ぼう」等の教養講座につきましても今月から順次開講してまいります。
次いで、子育て学習展開事業につきましては、就学前児童の保護者等に向けた親の学びの場を提供し、家庭や関係団体等の教育課題への気づきや意識醸成を進め、家庭の教育力向上につなげてまいります。本年度は「子どものやる気を育てる関わり方」、「情報化社会の中で思いやりの心を育てよう」など、子育ての今日的なテーマを切り口にした家庭教育出前講座等を来月から実施してまいります。
また、放課後子ども教室推進事業につきましては、放課後や週末に地域の方々の参画を得ながら、地域と学校が相互に協働して、地域の中で子どもが安心して学習活動や体験・交流活動が行える環境づくりに引き続き取り組んでまいります。
続きまして、図書館関係についてご説明申し上げます。
まず、令和10年の市立図書館100周年を見据えた機運醸成の取り組みが、公益財団法人岡田文化財団が公募する助成対象となったため、本議会に関係経費の予算補正を提案しております。
また、令和7年度「子供の読書活動優秀実践図書館」として、先月23日に文部科学大臣表彰を受賞いたしたところです。
受賞に至った背景には、まず基本理念である「学びの場からつながる場へ」を基に、図書館ボランティア団体や市民活動団体の協力を得て、施設を有効活用した読書につながる多様なイベントを開催していること、さらに学びの場を尊重しつつ、人々が交流できる場の創出に努めていることが挙げられます。加えて、学校と連携し、市立図書館の本を学校で借りることができる「ほんくる。」やタブレットを活用した電子図書館、電子図書読み放題パックを通じて学校読書環境の充実を図っていることなど、市民全体への読書活動推進にかかる取り組みが評価されたものと考えております。
今回の受賞を糧に、引き続き、子どもたちや市民の皆様方の読書習慣の更なる定着につながる取り組みを進めてまいります。
以上、教育行政の現況についてのご報告及びご説明を申し上げました。何卒よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。