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令和7年度施政及び予算編成方針

公開日 2025年02月25日

 令和7年亀山市議会3月定例会の開会に当たり、市政運営に対する所信の一端を申し述べさせていただきます。

 まずは、このたび、市民の皆様の負託をいただき、引き続き市長の重責を担わせていただくこととなりました。身の引き締まる思いであり、この上は公の責務に最善を尽くす覚悟でございますので、議員並びに市民の皆様の深いご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。
 現在、地方自治体を取り巻く環境は、国際情勢の不透明感の増大、人口減少・少子高齢社会の進展、超スマート社会への移行など、激動の流れの中にあります。本市は、新市施行から20年の節目を迎え、この先においても「オール亀山」の英知と協働により、この変化の時代を乗り越えてまいります。
 また、健やかで優しい暮らしを支える「地域共生社会の構築」をはじめ、「若者の定住促進」、「母子保健・周産期医療の拡充」を急ぐとともに、DXによる対応にも万全を期してまいりたいと考えております。
 一方、次なる4年は、四半世紀以上にわたり積み重ねてきたリニア中央新幹線・三重県駅の展開が、新たな段階へ移行するものと思われます。この千載一遇の好機を逃すことなく、次なる活力と未来へ向けた取り組みを進めてまいります。
 私たちは今、これら内外の環境変化に適応し、しなやかなる地域社会の創造と明るい未来への基盤づくりを急がなければなりません。私は、「緑の健都 かめやま」の進化を目指す政策展開と直面する財政構造の改革へ、今一度、強い意志をもって臨んでまいります。

 さて、我が国の経済は、不安定な国際情勢や物価高騰、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があるものの、雇用や所得環境が改善する下で緩やかに回復してきております。
 また、国においては、全国的な人口減少の進行により、地域・経済の活力が低下することにより、経済・社会システムの持続可能性への不安を生み出し、更なる人口減少につながることが危惧されており、こうした流れを反転させ、地域の活力を取り戻すため、新たな地方創生施策として「地方創生2.0」の積極的な展開を掲げております。こうした国等の動向は、市民生活や本市の行財政運営にも影響がございますので、引き続き的確な情報把握等に努めてまいります。

 一方、喫緊の課題でもございますエネルギー・食料品価格等の物価高騰対策につきましては、国の重点支援地方創生臨時交付金を活用し、先の第1回臨時会で可決いただきました経済支援対策事業等の関連予算の実行と併せ、新年度においても、市内の保育所、小中学校等における給食費の保護者負担の軽減を図り、物価高騰の影響を受ける世帯等への迅速かつ円滑な支援に努めてまいります。

 ところで、先般、令和7年度の「行政経営の重点方針」を定めたところであります。新年度は、計画最終年度を迎える「第2次亀山市総合計画」の総仕上げを図りつつ、分度・推譲の実践による財政構造の改善に積極果敢に取り組むため、「分度の年」と位置付けました。その上で、重点方針として、「第2次総合計画後期基本計画の必達と次期総合計画の策定」、「財政構造改革の集中展開」、「組織機構の見直しとワーク・ライフ・バランスの推進」の3つの取り組みを掲げ、職員一人ひとりの英知を結集し、組織力を発揮させて取り組んでまいります。

 こうした中、新年度の予算編成に当たりましては、後期基本計画実施計画の必達に向け事業費を計上しつつも、「財政構造改革骨太方針2024」の取り組みを反映させたものといたしております。中でも、一般会計の歳出では、市道和賀白川線の整備をはじめ、防災情報伝達システムの整備、津市及び鈴鹿市との共同運用による新たな消防指令センターの整備、中学校全員喫食制給食の実施に向けた給食受入れ環境の整備等の投資的経費や義務的経費の伸びにより、一般会計予算額は過去最高規模となりましたが、財政構造改革の展開により、一般財源ベースでは、前年度比2億6,479万7千円の減となっております。一方、歳入では、コロナ禍前の水準までの市税の増収を見込むほか、補助事業費の増による国庫支出金や緊急防災事業債等の市債の増額により、財源調整のための財政調整基金繰入額は、前年度より4億2,000万円減少いたしております。
 これらを踏まえ、令和7年度末の財政調整基金残高は、令和6年度末残高見込みの約15億2,400万円と同水準と見込んでおり、これまでの事業推進による財政調整基金の取崩し基調に対して、歯止めを掛けることができるものと考えております。
 なお、各会計別の予算額は、一般会計予算が前年度比6.3パーセント増となる236億2,000万円といたしましたほか、国民健康保険事業特別会計は44億6,020万円、後期高齢者医療事業特別会計は13億240万円、水道事業会計は17億6,510万円、工業用水道事業会計は8,620万円、下水道事業会計は34億5,750万円、病院事業会計は21億4,210万円で、一般会計、特別会計、企業会計を合わせまして、前年度比3.1パーセント増の368億3,350万円の当初予算額といたしております。

 それでは、市政の各部門にわたり、第2次亀山市総合計画の施策の大綱に沿って、ご説明申し上げます。

1.快適さを支える生活基盤の向上

 まず、「快適さを支える生活基盤の向上」についてでございますが、魅力的な都市空間の形成につきましては、次期総合計画との整合を図りつつ、次期「亀山市都市マスタープラン」の策定及び「亀山市立地適正化計画」の改定に向けた取り組みを進め、コンパクトプラスネットワークの都市形成を目指してまいります。
 また、居住誘導区域内への転入者等を対象に住宅取得の支援を行うことにより、子育て世帯等の定住促進と中心的市街地の活性化につなげるほか、関町木崎地内において、計画的な地籍調査に取り組んでまいります。

 次に、住環境の向上につきましては、住宅セーフティネットの確保や、木造住宅の耐震化や除去等の促進による安全な住環境の確保、さらには、空き家情報バンク制度の活用等による空き家の有効活用等を促進してまいります。

 次いで、上下水道の充実のうち、上水道事業につきましては、布気町地内での送配水管の改良等により計画的に基幹管路の耐震化を進めるとともに、水道施設専用通信のデジタル化を進めることにより、監視体制の安定化を図ってまいります。併せて、水源から給水栓に至る統合的な水質管理を実現するため、「亀山市水安全計画」の策定に取り組むことで、安全でおいしい水の安定供給を図ってまいります。
 一方、公共下水道事業につきましては、川崎町地内等において管渠布設工事等を進め、普及促進を図るとともに、みどり町地内において老朽化が進む管渠の改築を行い、施設の長寿命化を図ってまいります。
 また、農業集落排水事業につきましては、引き続き上加太地区浄化センター等において施設の更新を行い、適切な施設の維持管理に努めてまいります。
 一方、持続可能な下水道事業のため、経営状況について現状分析と将来予測を行うとともに、今後提出が予定される亀山市下水道使用料等検討委員会からの意見書を踏まえ、地方公営企業である下水道事業の適正な事業運営に向け、下水道使用料について検討を行ってまいります。
 また、内水氾濫により浸水が想定される範囲等の情報を纏めた内水浸水想定区域図の作成に取り組み、近年多発しているゲリラ豪雨等による浸水被害の軽減に努めてまいります。

 次に、道路の保全・整備につきましては、市内環状道路の形成に向け、市道和賀白川線において道路新設工事等を進めるとともに、交通量が増加傾向にある市道川合9号線の道路改良に向け用地買収を行うなど、道路整備を推進してまいります。
 また、「亀山市舗装維持管理計画」に基づき、市道田村線等における舗装の老朽化対策や聖橋の長寿命化に向けた修繕工事に取り組み、道路施設の安全性の確保を図ってまいります。
 一方、国の補助金を活用し、効率的・効果的な道路施設の管理に向け民間事業者の持つ技術・ノウハウ等を活用した包括的民間委託の手法について調査・研究を行うことで、将来にわたる持続可能な維持管理体制の構築を図ってまいります。

 次いで、地域公共交通の充実につきましては、次期地域公共交通計画の策定を見据えつつ、国の補助事業を活用しながら、路線維持基準を下回るバス路線を中心に、市民・交通事業者・行政の三位一体により、その改善策や輸送サービス内容等の検討を進め、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築を図ってまいります。
 また、JR関西本線(亀山・加茂間)の利用促進につきましては、三重県をはじめ、沿線自治体、JR西日本で組織する「関西本線活性化利用促進三重県会議」等による広域的な連携の下で、今月実施いたしました都市と沿線地域(名古屋・伊賀上野間)を結ぶ実証列車の運行に引き続き、観光需要等の創出を目指す取り組み等により利用促進を図り、当該路線の維持・確保につなげてまいります。

 次に、防災・減災対策の強化につきましては、先月、政府の地震調査研究本部は、今後30年以内に南海トラフ地震が発生する確率を、これまでの「70パーセントから80パーセント」を「80パーセント」に更新しております。既に昭和東南海地震等の発生から約80年が経過する中で、万一の巨大地震の発生に備え、国・三重県・自衛隊等の関係機関との連携を深めるとともに、各種団体等との災害時応援協定の拡充等を図り、円滑な応急・復旧対策や物資の確保等につなげてまいります。
 また、本年度から進めております防災情報伝達システムの整備につきましては、令和8年度のシステム運用開始に向け、引き続きデジタルスピーカーの設置工事や防災アプリの開発等を進めるとともに、市民への防災アプリの利用促進等を図り、防災情報伝達の重層化に取り組んでまいります。
 一方、令和6年能登半島地震を通じて、自助・共助の重要性を再認識することとなりましたので、防災出前講座の開催等による更なる防災意識の向上と知識の普及を図るとともに、地域まちづくり協議会における地区防災計画の策定支援等により、避難行動要支援者への支援体制づくりを進めてまいります。

 次いで、消防力・地域安全の充実のうち、消防体制の充実強化につきましては、「第3次亀山市消防力充実強化プラン」に基づき、複雑多様化する災害に的確に対応するため、消防施設・設備の充実や人材育成に取り組んでまいります。中でも、津市及び鈴鹿市との3市消防本部による消防指令業務の共同運用につきましては、新たな消防指令センターの整備を進めるとともに、3市合同の職員研修を実施するなど、令和8年4月の本格運用開始に向け万全を期してまいります。
 また、老朽化した消防庁舎及び関分署の自家用発電設備の機能強化を図るため、それらの改修工事を実施し、災害対応体制の充実強化を図ってまいります。
 さらに、救急体制の充実強化につきましては、高齢化の進展等による救急需要の増加や、市民の救急業務に求めるニーズの多様化に的確に対応するため、三重大学医学部附属病院への救急救命士の派遣を通じて、地域の病院前救護の担い手として必要な知識・技術の習得と三次医療機関との連携関係を構築するほか、各種教育訓練への職員派遣により救急隊員の資質向上に努めてまいります。
 一方、防犯対策の推進につきましては、市町に対する県補助金も活用しながら、引き続き自治会に対し防犯灯及び防犯カメラの設置費等の助成を行い、安全・安心なまちづくりに努めてまいります。また、年々複雑化・巧妙化する詐欺事件等への対応につきましては、その変化のスピードに立ち後れることなく、亀山警察署や鈴鹿亀山消費生活センター等と連携し、注意喚起等の情報発信を積極的に行い、消費者被害の防止に努めてまいります。
 一方、交通安全対策の推進につきましては、引き続き亀山警察署、亀山地区交通安全協会等と連携しながら、交通事故死傷者数の減少に向け街頭啓発活動等に取り組み、交通事故の無い社会を目指してまいります。

 次に、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの推進と循環型社会の構築につきましては、全国で太陽光発電施設の設置に伴い、住民と事業者とのトラブル事案が増加する中で、地域との共生を図るため関係法令の改正等が行われております。こうした中、市といたしましても、関係法令の対象外となる小規模な太陽光発電施設等の適正な導入に向け、その手続き方法等の検討を進めてまいります。
 一方、廃棄物処理施設の適正管理につきましては、引き続き、老朽化が進むごみ溶融処理施設及びし尿処理施設の大規模整備や、溶融処理に必要な前処理施設の延命化により安全・安心で効率的な廃棄物処理につなげてまいります。
 また、今後、整備が必要となってまいります次期ごみ処理施設につきましては、施設整備基本構想の策定に向け取り組んでまいります。
 ところで、昨年10月から令和6年能登半島地震により、被害を受けた家屋等の公費解体による災害廃棄物の受入れ及び処理を行っているところであります。今後も災害廃棄物の増加が見込まれますことから、引き続き新年度も災害廃棄物を受け入れ、被災地の支援を行ってまいります。

 次いで、自然との共生につきましては、農道等の地域資源の保全活動や耕作放棄地の発生防止とその解消等を進めていただく農家や営農組織等の取り組みを支援することで、農地・農村が持つ多面的機能の発揮を図ってまいります。
 一方、森林の保全につきましては、森林環境創造事業、森林経営管理事業による森林整備を着実に進めることで、水源かん養、土砂流出防止、地球温暖化防止など、森林の持つ公益的機能の維持・発揮を図ってまいります。また、みえ森と緑の県民税市町交付金を活用し、市内全小中学校において、森林環境教育を実施していくことで、森林や木材が持つ魅力を発信し、木材に触れ合う機会を創出してまいります。さらに、鈴鹿川等源流の森林(もり)づくり協議会の活動を引き続き支援することで、源流域への愛着と誇りの醸成につなげ、森を育む人づくりに取り組んでまいります。
 一方、多様な生態系の保全につきましては、亀山版OECM認定制度「かめやま生物多様性共生区域認定制度」による認定を進め、身近な地域の生物多様性保全に取り組んでいる市民や市民団体等の活動を評価し支援してまいりますほか、里山塾や里山イベント、出前講座を積極的に実施し、生物多様性の保全に係る認知度と環境意識の向上を図ってまいります。

 次に、歴史文化を生かしたまちづくりの推進につきましては、関宿にぎわいづくり基金を活用した伝統的建造物の修理修景事業や関宿及び亀山宿における東海道の舗装の美装化等を計画的に進め、東海道を基軸とした歴史的風致の維持向上を図ってまいります。
また、国史跡の鈴鹿関跡につきましては、亀山市鈴鹿関跡学術調査専門委員会の助言と指導の下、引き続き地形測量調査等を実施しながら、調査研究成果を積み重ねてまいります。
 一方、開館30周年を迎える歴史博物館におきましては、改正博物館法の趣旨に基づき、より市民に開かれた博物館に向けて、博物館資料台帳やデジタルアーカイブの整備等に着手し、博物館におけるDXの推進に取り組んでまいります。

2.健康で生きがいを持てる暮らしの充実

 続きまして、「健康で生きがいを持てる暮らしの充実」について、ご説明申し上げます。
 まず、健康づくりの推進と地域医療の充実のうち、健康都市の推進につきましては、令和8年度以降のかめやま健康都市大学の発展期に向けて、先月開催いたしましたかめやま健康都市大学運営協議会でのご意見も踏まえながら、市の様々な健康づくりの取り組みとも連携した講座を実施し、引き続き市民のヘルスリテラシーの向上に努めてまいります。
 また、地域主体の健康づくりに向け、地区担当保健師が中心となり、健都サポーターとともに地域に出向き、食や運動に関する教室を開催するなど、地域での実践的な健康づくり活動の拡大に取り組んでまいります。
 一方、アプリdeウェルネス推進事業につきましては、市制施行20周年記念のウォーキングイベントを開催し、更なるアプリ利用者の拡大に努めるとともに、多くの方が参加するイベント等でのアプリ利用の定着に向けた周知啓発を通じ、市民の主体的な健康活動の促進につなげてまいります。
 また、市制施行20周年記念事業の一つとして、国民に親しまれている「巡回ラジオ体操・みんなの体操会」を実施することで、誰もが気軽にできる運動であるラジオ体操を通じ、市民の皆さんの健康増進につなげてまいります。
 一方、がん検診推進事業として、引き続き各種がん検診をインターネット申し込みが可能なあいあい等での集団検診と、市内医療機関での個別検診の2つの方式で実施するとともに、健康づくりのてびき等において有効な情報の提供を行うなど、今後も受診機会の周知に努め、がんの早期発見・早期治療につなげてまいります。また、がん患者等が自分らしく安心して日常生活を送ることができるよう、引き続き医療ウイッグ等の補装具の購入費用等の支援を行ってまいります。
 一方、地域医療の充実につきましては、三重大学地域医療学講座支援事業と滋賀医科大学スポーツ・運動器科学共同研究講座支援事業の実施により、引き続き、地域医療の核となる市立医療センターの医師確保への支援を行うことで、地域医療体制の充実を図り、市民の安全・安心につなげてまいります。
 また、感染症対策の推進といたしましては、これまで費用助成により行っていた帯状疱疹ワクチン予防接種について、国において本年4月からの定期予防接種化の方針が示されたことから、関係機関等と協議・連携し、同月から定期予防接種を開始する見込みでございます。さらに、インフルエンザ等の任意予防接種への費用助成を引き続き実施する一方、帯状疱疹ワクチンの助成につきましては、定期接種対象者を除いた50歳以上の方を対象に実施することで、予防接種の取り組みを通じた感染症の流行や重症化の予防に努めてまいります。
 一方、新型インフルエンザ等の対策につきましては、新型コロナウイルス感染症対応の経験を踏まえ、昨年7月に国の新型インフルエンザ等対策政府行動計画が改定され、現在、県においても行動計画の改定作業が進められていることから、こうした国・県の動向を踏まえ、「亀山市新型インフルエンザ対策行動計画」の改定に向け取り組んでまいります。
 また、市立医療センターにつきましては、引き続き、三重大学や滋賀医科大学等の関係機関と連携し、医師をはじめとする医療従事者を確保することにより、入院及び外来の診療体制の充実を図り、安定的な医療提供と経営の健全化に努めてまいります。また、本市の地域包括ケアシステムの中核を担う病院として、地域の医療機関や多職種との連携強化を図るとともに、訪問診療や訪問看護等の在宅医療体制の充実にも努めてまいります。
 一方、国民健康保険事業につきましては、被保険者数の減少に伴う保険税の減収や激変緩和措置の終了に伴う国民健康保険事業納付金の負担増により、現行の保険税率では新年度以降の大幅な財源不足が見込まれることから、亀山市国民健康保険運営協議会からの答申を踏まえ、県の標準保険税率に則した国民健康保険税率に改正を行い、国民健康保険事業の運営の健全化を図ってまいります。また、今後は、更なる収納率の向上、効果的な保健事業の実施、医療費の適正化に取り組み、被保険者が安心して医療を受けられるよう持続可能な事業運営に努めてまいります。
 なお、国民健康保険税率を見直すため、本議会に関係条例の改正を提案いたしております。

 次に、地域福祉力の向上につきましては、顕在化しているひきこもりの支援体制の強化に向け、現在、亀山市社会福祉協議会のCSWと共同して関係団体との協議や試行実施を重ねている、ひきこもりの人に対するオンライン居場所について、本年4月より本格運用を図ってまいります。また、オンライン居場所を社会とのつながりづくりに向けた新たな居場所として活用するとともに、オンライン相談の実施や、多様な就労体験の機会を提供するなど、重層的支援体制の更なる進化を図り、ひとりぼっちをつくらないまちづくりに取り組んでまいります。

 ところで、近年、地震や豪雨等の自然災害が頻発する中、自然災害により死亡された方の遺族や障害を受けた方に支給される災害弔慰金等の支給が想定されることから、災害による死亡等であるか不明確な案件について因果関係等を調査審議する「亀山市災害弔慰金等支給審査委員会」の設置等について規定するため、本議会に関係条例の改正を提案いたしております。

 次いで、高齢者の地域生活支援の充実につきましては、高齢者が住み慣れた地域で安心して生き生きと暮らせるよう、関係団体や医療・介護の関係者との連携体制を強化するとともに、基幹型地域包括支援センターや地域包括支援センターとも一層の連携を図るなど、これまで構築してきた地域包括ケアシステムの更なる深化に努めてまいります。
 また、健都サポーターのうち、フレイル予防を市民に広める活動を行っていただける方をフレイルサポーターとして位置づけ、保健師とともに東京大学高齢社会総合研究機構が開発したフレイルチェック等を各地域で実施することで、高齢者のヘルスリテラシーの向上や地域が主体となったフレイル予防を促進してまいります。
 なお、「誰ひとり取り残さないまち亀山」を目指し、福祉分野の施策を横断的かつ一体的に推進するため、令和8年度に終期を迎える「亀山市地域福祉計画」、「亀山市高齢者福祉計画」及び「亀山市障がい者計画」の3つの分野別計画を一体化する「亀山市総合福祉計画(仮称)」の策定に向けた準備を進めてまいります。

 次に、障がい者の自立と社会参加の促進につきましては、障害者総合相談支援センター事業を通じて、亀山市地域自立支援協議会において議論を重ね、重複した障がいにも対応できるよう、身体・知的・精神の専門に特化した相談支援ではなく、3障がいを一元的に支援する相談支援へと体制の充実を図ってまいります。

 次いで、文化芸術の推進につきましては、本年度実施の「かめやま文化年2024」の取り組みを一過性に留めることなく、更なる文化芸術の継承と創造につなげるため、事業の検証を行いつつ、地域の伝統芸能の映像記録・活用事業や文化会館のアウトリーチ事業等の取り組みを進めてまいります。

 次に、スポーツの推進につきましては、生涯スポーツの推進のため、引き続き亀山市スポーツ推進委員と連携を図りながら、ニュースポーツ大会等の開催等を通じ、地域に根ざしたスポーツ活動の充実を図ってまいります。
 なお、来月、東野公園体育館の空調設備等の設置工事が竣工いたしますので、空調設備を利用する場合の費用負担について、本議会に関係条例の改正を提案いたしております。
 

3.交通拠点性を生かした都市活力の向上

 続きまして、「交通拠点性を生かした都市活力の向上」について、ご説明申し上げます。
 まず、企業活動の促進・働く場の充実につきましては、本市に進出決定をいただいた企業に対し、産業振興奨励金の交付等を通じ継続した支援を行うとともに、新たな産業団地を確保するため、亀山インターチェンジ周辺における候補地や民間ノウハウを活用した事業手法等について検討を進め、早期実現につなげてまいります。
 また、コストコホールセールジャパン株式会社による(仮称)亀山倉庫店の誘致につきましては、早期開業に向け、引き続き県や事業者等と調整を図ってまいります。
 一方、市内企業の雇用の維持及び確保につきましては、亀山市雇用対策協議会等の関係機関と連携して進めるとともに、亀山高等学校と連携した取り組みにより、市内企業の魅力の情報発信に努め、地域雇用の確保に向けた支援を行ってまいります。

 次に、地域に根ざした商工業の活性化につきましては、亀山商工会議所や市内商業団体と連携を図りながら、「亀山まちゼミ」など、商業活性化に向けた取り組みを支援するとともに、事業者の経営安定化や時代の変化に沿った新分野・新技術への進出に向けた事業展開、円滑な事業承継を支援してまいります。また、亀山商工会議所と連携した創業セミナーの開催や空き店舗等活用支援事業補助金の活用により、市内での創業を支援し、にぎわいのある商業地域の形成を図ってまいります。

 次いで、農林業の振興のうち、農業の振興につきましては、市内20地区で今年度末に策定を予定しております地域計画に基づく農地の集約化等の実現に向けた取り組みを進めてまいります。また、中山間地域特有の課題に対応した施策等を整理し活性化につなげるため、中山間地域における農業活性化方針の策定に取り組んでまいります。
 一方、獣害対策につきましては、亀山市鳥獣被害防止対策推進協議会と連携した施策やモンキーレンジャーズの活動により、個体数調整など、サルの群れの特性に応じた被害対策に取り組んでまいります。現在、三重大学や三重県猟友会亀山支部と連携し、捕獲したニホンザルやニホンジカにGPSを装着し行動域の調査を行っておりますが、イノシシも同様に調査を進め、有害獣の人里への侵入経路を解析し、被害リスクマップの作成に取り組んでまいります。
 また、林業の振興につきましては、林業施業の集約化、利用間伐等の支援を行うことで、林業生産活動を行う林業事業体の経営安定化を図るとともに、林業生産活動による適正な森林整備の促進につなげてまいります。

 次に、まちづくり観光の活性化につきましては、「アートが生まれる街、亀山」の最終年度として、地域活性化起業人を中心に亀山市観光協会やDMOカメヤマモデルなど関係団体とも連携しながら、「歩(あゆむ)」をテーマに市内への観光誘客を図り、本市の魅力に触れていただけるよう取り組んでまいります。また、亀山版グリーンツーリズムとして、修学旅行や企業研修等の教育旅行の誘致を、モニターツアーを実施しながら進めるとともに、本年4月から開催される大阪・関西万博において、三重県や亀山ブランド認定事業者等と連携した観光プロモーションを実施し、訪日外国人旅行者の誘客を図ってまいります。

 次いで、広域的な交通拠点性の強化のうち、リニア中央新幹線三重県駅の誘致につきましては、現在、建設主体であるJR東海において、先行開業区間(品川・名古屋間)の建設工事が鋭意進められる中、名古屋・大阪間におきましても、環境影響評価の取り組みが行われております。こうした動向を踏まえつつ、今後も、三重県等関係団体との連携を強めるとともに、リニア亀山市民会議の取り組みを支援しながら、リニア中央新幹線の早期全線開業とリニア三重県駅誘致に向けた機運醸成に取り組んでまいります。
 また、広域道路網の強化につきましては、関係市町等で組織する「鈴鹿亀山道路建設促進期成同盟会」等を通じ、一般国道306号鈴鹿亀山道路の早期完成や国道1号関バイパス及び一般国道306号川崎庄内バイパスの整備促進について、引き続き、関係機関との調整や要望活動を展開してまいります。
 

4.子育てと子どもの成長を支える環境の充実

 続きまして、「子育てと子どもの成長を支える環境の充実」について、ご説明申し上げます。
 まず、安心して子どもを産み育てられる環境づくりの推進につきましては、本年度策定を予定しております「第3期亀山市子ども・子育て支援事業計画」に基づき、子育て支援の推進を図ってまいります。
 そうした中、就学前教育・保育施設の受入機能の強化に向け、子育て世帯の就労状況の変化や就学前教育・保育ニーズ等を踏まえた最適な施設再編に向け、「亀山市就学前教育・保育施設の再編方針」の改訂を進めるとともに、公立幼稚園の在り方についても検討を進めてまいります。
 なお、近年、幼稚園ニーズの減少が顕著であることから、井田川幼稚園とみずほ台幼稚園につきましては、令和9年度の統合に向けた準備を進めているところでございます。
 また、令和5年に施行されましたこども基本法に基づき、「こどもまんなか社会」の実現を目指す「こども大綱」を勘案し、本市におきましても子ども・若者の視点に立ち、こども施策を総合的に、より一層推進していくため、「第3期亀山市子ども・子育て支援事業計画」を包含する「亀山市こども計画」の策定に取り組んでまいります。
 ところで、児童手当給付事業のうち亀山市子どもの出生祝金につきましては、国において児童手当の拡充など、子ども・子育て施策の強化や若い世代の所得向上に向けた取り組みが進められていることから、市の限られた財源の配分を見直し、より質の高い効果的な子育て支援等の施策を推進していくため、本年4月1日までの出生をもって出生祝金を終了することとし、本議会に関係条例の廃止を提案いたしております。
 また、本市の児童発達支援につきましては、亀山市こども家庭センターを中心に、様々な施策を展開するとともに、児童発達支援体制に求められる中核機能の確保に努めてまいりました。これに加え、本年4月より民間の児童発達支援センターが市内に開設されることで、より専門的な支援やその機会の確保が期待できるところでございます。今後は、本市がこれまで進めてきた児童発達支援の取り組みや地域資源を土台として、行政と民間施設との連携による面的整備型児童発達支援体制により、支援を必要とするすべての子どもとその家族に切れ目なく、もれなく支援が行き届くよう、機能の充実を図ってまいります。
 一方、旧図書館への移転の方針を決定しております亀山児童センターにつきましては、国の指針において、子どもの居場所づくりとして、様々なニーズや特性を持つ子ども・若者が、身近な地域において、各々のライフステージに応じた居場所を切れ目なく持つことができることが重要とされておりますことから、その実現に向けた検討を進めてまいります。

5.市民力・地域力の活性化

 続きまして、「市民力・地域力の活性化」について、ご説明申し上げます。
 まず、自立した地域まちづくり活動の促進につきましては、引き続き、地域まちづくり協議会の活性化に向けた重点的な支援や、地域予算制度の更なる充実に向けた検討を行い、地域の賑わいにつなげてまいります。このほか、地域担当職員の配置や地域まちづくり推進アドバイザーの積極的な派遣等を行うことで、地域まちづくり計画に基づく地域が主体となった活動を促進してまいります。

 次に、市民参画・交流活動の促進と協働の推進のうち、市民活動応援制度につきましては、市民活動応援券の活用を促進するとともに、亀山市市民活動応援制度審査検証委員会からの本制度の提言等を踏まえ、制度の充実に向けた更なる検討や検証を重ねながら、市民活動の活性化につなげてまいります。
 また、協働事業提案制度につきましては、制度を活用した協働事業を進めるとともに、市民へ制度内容の更なる周知を行うなど、多様な主体との協働によるまちづくりを進めてまいります。
 一方、市民協働センターにつきましては、来る4月1日から、市民協働グループで行ってきた市民活動団体の支援や相談業務等の機能と、亀山市社会福祉協議会のボランティアセンターの機能を集約し、各種団体をつなぐコーディネート等の中間支援機能を有した相談支援機関を新たに設置・運用することで、施設の機能強化を図り、市民活動やボランティア活動の更なる活性化や支援の充実につなげてまいります。
 ところで、市制施行20周年記念事業として、本年6月に全国放送番組として人気の高い公開番組「のど自慢」をNHKと共催することにより、市制施行20周年の機運醸成と市民交流の創出につなげてまいります。

 次いで、移住・定住の促進につきましては、移住・交流促進アドバイザーと連携し、首都圏等において開催される移住イベントやSNS等の活用により、本市での暮らしの魅力を発信し移住促進を図ってまいりますほか、関宿地内の空き家を活用したワークショップの開催等により、関係人口の創出にもつなげてまいります。

 次に、人権の尊重とダイバーシティ社会の推進のうち、人権を尊重し合えるまちづくりの推進につきましては、市民の人権意識の高揚を図るとともに、法務局等の関係機関と連携した相談支援体制の充実に取り組んでまいります。
 また、ダイバーシティ社会の推進につきましては、外国人住民への日本語教室の開催や多言語による情報発信等を通じて、多文化共生の実現を図るとともに、「第4次亀山市男女共同参画基本計画」の計画期間が令和8年度で終了いたしますことから、次期計画の策定に向け、これまでの取組成果や課題を把握するため、市民意識調査等を行ってまいります。

6.行政経営

 続きまして、「行政経営」について、ご説明申し上げます。
まず、組織力の強化と働き方改革の推進につきましては、次期総合計画の推進に向け、組織の機能をより高め、各施策の目的達成につなげるため、組織機構の検証と見直しを実施してまいります。
 また、働き方改革の推進につきましては、新たに策定いたしました「第5次亀山市特定事業主行動計画」に基づき職員の勤務環境の向上を図るため、年次有給休暇の取得促進の取り組みや特別休暇の制度拡充等を実施し、職員のワーク・ライフ・バランスを推進してまいります。
 なお、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律が改正され、仕事と育児・介護の両立を支援するため、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等が図られたことから、本議会に関係条例の改正を提案いたしております。

 次に、財産・情報の適正な管理・活用のうち、新庁舎の整備につきましては、引き続き庁舎建設基金の計画的な積立てを行い、財源確保に努めてまいります。

 次いで、行政DXの推進につきましては、行政サービスの利用者の利便性向上と行政の効率化を図るため、地方公共団体情報システム標準化の実現に向けた取り組みを、引き続き円滑かつ安全に進めてまいります。
 一方、新年度以降、マイナンバーカードの更新手続き等がピークを迎えてまいりますことから、窓口入力支援システムの利用促進により窓口の混雑緩和を図りながら、引き続きマイナンバーカードの交付率向上に努めてまいります。
 ところで、戸籍法等の改正に伴い、改正法の施行日である本年5月26日から、戸籍に氏名の振り仮名が記載されることとなるため、本市に本籍のある人への振り仮名の確認や戸籍への記載作業を迅速かつ適正に進めてまいります。
 次に、持続性を保つ健全な財政運営につきましては、財政構造改革・集中改革期間の2年目として、次期総合計画の策定と合わせ、事業の統廃合など抜本的な構造改革を進め、健全財政の確立を目指してまいります。
 こうした中、今後控える新ごみ処理施設、新庁舎など4つの大規模施設の整備につきましては、財政構造改革の取り組みの一環として、将来にわたる財政的負担を可能な限り軽減する整備スケジュール等について検討を重ね、このほどその基本的な考え方を取り纏めたところであります。その検討結果として、4つの大規模施設のうち、市民生活への影響が大きく、早期の整備により現有施設のランニングコスト等で20億円を超える経費縮減が見込める、新ごみ処理施設の整備を最優先することといたしております。  その上で、新庁舎の整備については、新ごみ処理施設の整備時期と調整を図り、開庁時期を現計画から6年程度延伸することにより、庁舎建設基金を総額30億円以上積み立て、将来負担の軽減を図りながら進めてまいりたいと考えております。また、学校施設等の長寿命化については、老朽化の著しい施設から計画的に改修を実施していくほか、新し尿処理施設の整備は、新ごみ処理施設・新庁舎の整備完了後に行ってまいりたい考えております。これらは長期的な見通しであり、今後、総合計画への反映など具体的な検討が必要となりますが、安定的な財政運営の下での取組展開を目指してまいります。
 一方、行財政改革の取り組みとして、持続可能な行財政運営を目指し、「第3次行財政改革大綱」の検証を踏まえた中で、新たに「第4次行財政改革大綱及び前期実施計画」の策定に取り組んでまいります。
 また、多様な手法による安定した財源の確保を図るため、市営住宅等の跡地など、今後の公的利用が見込めない公有財産については、民間ノウハウを活用した売却手法も検討しながら、積極的に売却や貸付を進めてまいります。
 このほか、市税におきましては、公平・公正な課税に努めるとともに、共通納税システムの利用拡大やクレジット収納の継続により、デジタル化による利便性の向上に取り組んでまいります。
 なお、現下の厳しい財政状況等を総合的に勘案し、市長の給与及び退職手当の額を引き続き減額するため、本議会に関係条例の改正を提案いたしております。

 ところで、次期総合計画の策定につきましては、現在、庁内検討組織を通じ、第2次総合計画の総括等の取り纏めを鋭意進めているところであり、取り纏まり次第、議会へご報告申し上げたいと存じます。また、これらを基に、新年度は、基本構想等の具体的な計画策定作業を進め、亀山市総合計画審議会への諮問等を経て、令和8年3月定例会における関係議案の提出を目指してまいります。

 一方、本年は、5年ごとに実施される国勢調査の実施年であります。国勢調査は、人口や世帯の実態を調査する国の最も重要な統計調査であり、その結果は、国や地方公共団体の行政運営の基礎データなど、様々な分野で幅広く活用されますことから、万全の態勢を整えて調査の実施に取り組んでまいります。

 また、学校教育、生涯学習等、教育分野の詳細につきましては、後ほど教育委員会当局からご説明申し上げます。
 なお、昨年11月11日から本年2月10日までにおける負担附きでない100万円以上の寄附受納の状況は、別紙のとおりでございましたのでご高覧賜りたいと存じます。

 結びに、私たちは今、不確実性・変動性の時代を生きております。令和7年度、誰もがより健やかで心豊かに生活できる、活力ある持続可能な「緑の健都 かめやま」の実現へ、全庁一丸となって進めてまいります。
 市議会並びに市民の皆様の深いご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。