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意見書・決議(令和6年9月)

公開日 2024年09月30日

意見書
件名  義務教育費国庫負担制度の充実を求める意見書
本文

 教育の全国水準と機会均等を確保する義務教育の基盤をつくるためには、教職員の確保、適正配置、資質向上及び教育環境整備等諸条件の水準を保障すべきであり、そのために必要な財源を安定的に確保することが不可欠です。義務教育の水準が各自治体の財政力に左右されることなく安定的に確保されるためには、一般財源ではなく、国庫負担金による財源確保の対象の拡大、更にはその増額が極めて重要と考えるところです。

 学校現場では、教育のICT化が急速に進められ、多くの自治体で一人一台端末が整備されました。その整備における自治体間格差を埋めるため、国による様々な予算措置により、一定の成果が見られる一方で、学校ネットワークの通信回線の帯域確保の状況に地域間格差があり、改善の必要性が示されています。

 さらに、情報通信技術支援員、特別支援教育支援員、教員業務支援員、あるいは学校司書についても地方財政措置はあるものの各自治体の一般財源となる措置であることから、結果として自治体間格差が生じ、教育水準の維持向上と教育の機会均等が図られているとは言えない状況となっています。

 義務教育については、国が責任を果たすとの理念に立ち、教育に地域間格差が生じないよう、必要な財源を確保する義務教育費国庫負担制度の存続はもとより、措置の対象の拡充を含めた制度の更なる充実が求められます。

 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。


1.義務教育の根幹である「無償制」、「教育の機会均等」を保障し、「教育水準の維持向上」を図るため、国の責務として必要な財源が確保されるよう、義務教育費国庫負担制度の更なる充実を図ること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 令和6年9月30日

 

意見書
件名  教職員の欠員を速やかに解消する施策の実行及び教職員定数改善計画の策定・実施と教育予算拡充を求める意見書
本文

 2021年4月、国の学級編制の標準が40年ぶりに改善されましたが、学校現場の人的配置の充実を求める声を反映したものにはなっていません。また、中学校の学級編制の標準や特別支援学級、特別支援学校の学級編制基準、高等学校等の教職員定数の標準の改善については、示されていません。
 また、全国的に「教員不足」、「教職員未配置」の問題が深刻化しています。当然に満たされるべき定数の教職員が、学校現場に配置されていない現状は極めて深刻であり、多忙を極める学校現場において、これは危機的状況にあると言えます。教職員が心身ともにゆとりをもって子どもたちと向き合い、日々の教育活動を創り出していくことは、子どもたちの「豊かな学び」の保障につながります。
 子どもたちが安全・安心に学べるようにするためにも、教職員の欠員や不補充を速やかに解消する施策の実行及び全ての校種における学級編制と教職員定数の標準を改善する新たな教職員定数改善計画の策定と実施が強く望まれます。
 一方で、物価の高騰が家計に大きな影響を与えています。教育のICT化に伴う機器の整備費や通信費等の保護者負担も生じています。教育費の公財政支出を充実させ、保護者負担の軽減を図ることは喫緊の課題です。
 公財政として措置される教育予算を拡充し、教育条件整備を進めていくことが、山積する教育課題の解決へとつながり、そして、子どもたち一人一人の「豊かな学び」を保障することになると考えます。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

 

 

1.子どもたちの「豊かな学び」の保障に向け、教職員の欠員を速やかに解消する施策の実行及び教職員定数改善計画の策定・実施と教育予算の拡充を行うこと。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 令和6年9月30日

 

意見書
件名  防災対策の充実を求める意見書
本文

 2022年12月現在、三重県においては、124校の公立小中学校が、県の公表する津波浸水想定区域内に立地し、うち108校は避難所に指定されています。時間的に余裕をもって避難できる高台が周辺になく、津波に対する安全性が確保されない学校については、高台移転や高層化などの対策が求められています。国による津波対策のための不適格改築事業については、「津波防災地域づくりに関する法律」に基づく「津波防災推進計画」の策定が全国的にも進んでおらず、支援制度の活用が難しい状況です。補助要件の緩和、補助対象の拡大等支援制度の更なる拡充を求めます。
 また、災害時には避難所が開設される中で、性やプライバシーに関する課題への対応、また、外国人、介助・介護が必要な高齢者、障がい者、女性、乳幼児への配慮など、まだまだ改善すべき課題は山積しています。国の責任において、安心して被災者が避難できるように備えるべきです。過去の災害に学び、最善の備えを整えていくという考えのもと、防災に関わる施策が更に充実されることを強く望むところです。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

 

 

1.子どもたちの安全・安心を確保するため、巨大地震等の災害を想定した防災対策の充実を図ること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 令和6年9月30日

 

意見書
件名  子どもの貧困対策の推進と就学・修学支援に関わる制度の拡充を求める意見書
本文

 「第二期三重県子どもの貧困対策計画」の基本理念には、「生まれ育った家庭の経済状況にかかわらず、三重の子どもが、必要に応じた教育支援、生活支援、親への就労支援等によって、夢と希望を持って健やかに成長できる環境整備が図られている状況をめざします」と示されています。今後、この計画は、「こども大綱」を勘案して三重県が作成する「こども計画」に引き継がれることとなります。貧困の連鎖を断ち切るための教育に関わる公的な支援が極めて重要であり、支援を必要とする子どもたちや家庭に対して、相談体制を今以上に充実させる取組を含め、就学・修学保障制度の更なる拡充が必要と考えます。
 高等学校等就学支援金制度においては、標準的な修業年限を超過した場合、就学支援金の対象外となることや、履修単位数によって授業料を定めている場合に支給上限が設定されていることなど改善すべき課題があります。高校生等奨学給付金制度における第一子と第二子以降に対する給付額の差の解消や専攻科生徒への修学支援制度における国庫負担の割合の引上げについて、国の責任において更に進めていくことが求められます。
 また、国が進めている児童手当の充実等の子ども関連施策についても、確実な実施と更なる充実、国による財源の十分な確保が求められます。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

 

 

1.全ての子どもたちの学ぶ機会を保障するため、子どもの貧困対策の推進と就学・修学支援に関わる制度を拡充すること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 令和6年9月30日

 

意見書
件名  自動車関係諸税などの見直しに関する意見書
本文

 自動車関係諸税を取り巻く環境は、抜本的に見直すとされていた令和5年度の税制改正大綱においてもコロナ禍にある日本社会・経済状況を踏まえ、自動車関係諸税に関する抜本改革に向けた議論が先送りされ、担税力に応じていない税負担を課す状況が継続する形となっています。依然として取得・保有・走行の各段階において、引き続き9種類に及ぶ複雑かつ過重な税負担が課せられていることや、一般財源化により課税根拠が喪失した税の存続や二重課税など様々な課題が残されています。
 令和6年度税制改正「自動車関係諸税の見直し」の大綱への記載は、前年度と全く同じ内容となっており、コロナ禍にある日本社会や経済状況を理由に議論が令和8年に先送りされ、担税力に応じていない税負担を課す状況が継続しています。また、同大綱に記されている「中長期的な自動車関係諸税のあり方」の検討では、電気自動車等の普及などの動きを考慮し、課税のあり方も含めた税の公平性を早期に確保する旨が記載されている点を踏まえると、想定し得る走行距離課税やモーター出力課税など、EV・FCVに対するみなし課税の増税や新たな課税のあり方に向けた論議が行われることも予測されます。
 令和7年度税制改正にあたり、税制改正大綱に記載されている、令和8年の抜本改革までの取組の重要性が、時とともに増していく状況を念頭に、道路利用の受益と負担の関係など、中長期的な自動車関係諸税のあり方について主張を強めていく必要があります。併せて、複雑かつ過重で不条理な自動車税制の解消を前提に、自動車関係諸税が経済成長の足かせとならないよう、簡素化・ユーザー負担軽減に向けた抜本改革が必要です。加えて、日常生活の重要な交通手段として自動車を保有し移動せざるを得ない地方ほど世帯あたりの自動車関係諸税の負担が過重である現状において、自動車関係諸税の簡素化、負担軽減は、地方経済の活性化に貢献が期待されるとともに、CASEやカーボンニュートラルの促進を後押しするために現在の税制を見直すことは、「誰もが自由で安全な移動を享受できる社会」の実現につながるものと考えます。
 一方で、軽自動車税をはじめとする自動車関係諸税は、地方にとって重要な財源となっており、それらが減収となると財政に大きな影響を及ぼします。
 よって、政府におかれては、地方財源に影響を与えないよう、国税からの移譲を伴うことを前提とした「自動車関係諸税の見直し」に関し、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

 

 

1 自動車に係る税の負担軽減を図る
(1)車体課税を抜本的に見直し、簡素化・負担の軽減を図る
  1)自動車重量税は廃止を前提に、まずは「当分の間税率」を廃止する
  2)自動車税・軽自動車税(環境性能割)は廃止を前提に、まずは「被けん引車」を課税対象外とする
  3)自動車税・軽自動車税(種別割/四輪車・二輪車等)の税額引き下げによる負担軽減措置を講ずる
  4)複雑な車体課税を簡素化する
(2)燃料課税を抜本的に見直し、簡素化・負担の軽減を図る
  1)「当分の間税率」を廃止する
  2)複雑な燃料課税を簡素化する
  3)タックス・オン・タックスを解消する
(3)地方税収に影響を及ぼさない税体系
  1)自動車関係諸税の国税部分について、地方への移譲等を伴う負担軽減策を講じ、地方税収へ影響を与えないユーザー負担の軽減を図る
2 税目に対する使途を明確化する
(1)車体課税は、次世代モビリティ(CASE)普及促進の特定財源に充当する
(2)燃料課税は、カーボンニュートラル促進の特定財源に充当する
3 その他要望
(1)自動車の使用に係るユーザー負担の軽減を図る
  (高速道路料金の引き下げ、自動車保険の所得控除対象化)
(2)次世代エネルギー車普及に資する環境を整備する     
  (充電、充填インフラの拡充)
(3)中小・中堅企業支援の拡充を図る
  (事業転換、成長投資への支援)

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 財務大臣 国土交通大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 令和6年9月30日

 

 

意見書
件名  健康保険証の継続を求める意見書
本文

 デジタル社会形成基本法等の一部改正法が2024年5月31日に成立し、政府は2024年12月に現行の健康保険証を廃止して、健康保険証はマイナンバーカードを基本とする仕組み(以下「マイナ保険証」といいます。)に一本化するとしています。
 マイナ保険証はまだまだ不十分なシステムであり、医療機関で本人確認ができない、資格情報や負担割合に誤りがあるなど、トラブルが多発している状況です。このようなトラブルにより、医療費を全額請求した事例もあり、再度、医療機関を訪問することとなった受診者の命にかかわる事案も発生しています。施設に入所中の方などは、マイナンバーカードそのものの管理や暗証番号の管理が難しく、また、障がいによっては本人確認が困難な場合もあり、国民の不安は払拭できていません。
 そもそもマイナンバーカードの取得や健康保険証との紐付けは任意のはずです。現行の健康保険証の廃止は、いつでも、どこでも、誰でも等しく医療が受けられる「国民皆保険制度」を壊しかねません。誰にでも選択の自由があり、自己決定に基づいて暮らすことが憲法に保障されているはずです。
 マイナ保険証については、拙速にことを運ぶのではなく、まずは立ち止まって制度を見直すべきと考えます。現行の健康保険証は原則交付とし、マイナンバーカードを保険証として利用するかどうかは個々の任意の判断に委ねるべきであります。
 よって政府においては、健康保険証を継続するよう強く求めます。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 デジタル大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 令和6年9月30日