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教育行政現況報告

公開日 2023年06月02日

 令和5年6月亀山市議会定例会の開会に当たり、教育行政の現況と今後の見通しについてご報告し、議員並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 まず、先月8日をもって、学校教育活動に大きな影響を与えてきた新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行され、文部科学省においても、学校保健安全法施行規則の改正に合わせ「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」の改訂が行われました。今後は、コロナ禍を通じて再認識された学校の役割を踏まえ、これまで制限されてきた教育活動については、その必要性を十分に検討した上で、積極的に実施していくことが求められます。
 このような状況の中、本格的に新型コロナウイルスと共生する社会となっていきます。本市におきましても、児童生徒が新型コロナウイルス感染症に感染した場合は、インフルエンザと同様に出席停止扱いとなります。一方では、保健所による新型コロナウイルス感染患者の濃厚接触者の特定が行われず、外出自粛等も求めないため、感染者本人以外の児童生徒は登校できることになります。
 また、学校教育活動についても、制限されてきたことが再開され、多様な集団編成による学習や、全校一斉参加を伴う学校行事及び休み時間や給食等における交流が再開されることとなります。家庭や地域の協力を得つつ、多様な体験活動を取り入れ、児童生徒の成長の機会を確保してまいります。
 引き続きこれまでの経験を生かし、必要な場面で適切な対策を行いつつ、子どもたちが安心して学校生活を送り、豊かな学びを継続できる取り組みを行ってまいります。

 一方、新型コロナウイルス感染症関連以外の国の動向といたしましては、中央教育審議会にて「次期教育振興基本計画について(答申)」が取りまとめられ、「2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成」、「日本社会に根ざしたウェルビーイングの向上」をコンセプトとし、誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進等、今後の教育政策に関する基本的な方針等が示されました。これを受けて、次期「教育振興基本計画」の策定準備が進められており、今後の教育のあるべき方向性として注目されています。
 また、本年4月に施行された教育公務員特例法の一部改正により、これまでの教員免許更新制度が廃止され、「研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励」が始まっています。
 学校部活動に関しましては、本年度から令和7年度末までが、スポーツ庁と文化庁策定の「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方に関する総合的なガイドライン」に示されている改革集中期間となっており、地域連携・地域移行に取り組みつつ、地域の実情に応じて可能な限り早期の実現を目指すこととしています。

 次に、県の情勢でありますが、本年度4月に就任された新教育長は、「子どもたち一人ひとりの可能性を最大限に引き出すことを基本姿勢にする」と抱負を述べられました。また、ICT教育やキャリア教育等に力を入れるとともに、不登校やいじめ等生きづらさを抱える子どもの支援や、教員志望者が減少している現状にも触れ、「教員という職業の輝きを取り戻したい」と、教職員の働き方改革や不祥事根絶に取り組む考えを示されたところでございます。
 その中で、学力向上の取り組みといたしまして、ICTを効果的に活用しながら、学習指導要領を踏まえた授業改善や個に応じた指導を進めるとともに、学習習慣・生活習慣・読書習慣の改善について学校・家庭・地域が一体となった取組強化を行うこととしています。
 また、いじめに関する取り組みとして、県いじめ防止基本方針が本年3月に改訂され、具体的な展開に向けた見直しと共有を行うことが示されています。

 こうした国や県の動向や施策を見極めつつ、教育委員会といたしましては、亀山市教育大綱の基本理念等を念頭に置きつつ、「亀山市学校教育ビジョン」及び「亀山市生涯学習計画」の目標実現に向けた具体的な実践を着実に推進してまいります。

 それでは、それぞれの事業進捗につきまして、最初に学校教育関係についてご説明申し上げます。
 まず、子どもたちの教育に関する取り組みといたしまして、学力の向上について、本年度を1年目として、令和7年度までを計画期間とする「亀山市学力向上推進計画(第4版)」に沿った取り組みを進めてまいります。
 また、教育委員会が独自に作成している小学校国語科「確認テスト」のさらなる改善を図るとともに、学校の主体性を重視した研修体制の構築や、若手教職員の主体的な研修の充実を図ってまいります。
 体力向上に関しましては、一人ひとりの運動量確保が子どもの体力向上に有効であることから、本年度も健康運動実践指導士等の外部講師を市内の各小学校、幼稚園等に派遣し、体育の授業改善や遊びの工夫等について研修及び実践を行ってまいります。
 次いで、情報教育につきましては、「亀山市版ICT運用ガイドブック」の周知を図るとともに、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を推進するため、これまでの実践とICTを最適に組み合わせることで、学びの質を向上させてまいります。また、1人1台端末の家庭へ持ち帰っての学習を学年の実態に応じて推進してまいります。
 人権教育につきましては、「市民部会」「行政部会」「学校教育部会」の3部会にて構成される「亀山市人権教育推進協議会」において、今まで学校教育が中心であった人権教育の在り方を見直し、市民や行政も含めた幅広い取り組みを推進しているところです。
 次いで、文化芸術活動に関しましては、市文化会館と連携したアウトリーチ事業として、訪問型コンサート等を本年度も継続して行ってまいります。また、「NHK全国学校音楽コンクール三重県コンクール」や「全日本合唱コンクール」等に関する取り組みにつきましても、練習方法等を工夫しつつ参加に向けて準備を進めているところでございます。
 次いで、いじめ問題の対応としましては、県のいじめ防止基本方針に準じて、先月「亀山市いじめ防止基本方針」の改正を行ったところでございます。それに伴い、各学校の「いじめ防止基本方針」の見直しを図るとともに、その取り組みを着実に実践してまいります。また、「いじめを生まない環境づくり」を進め、児童生徒一人ひとりがいじめの重大性を理解し、いじめ問題に正しく向き合うことができるよう、教職員の研修の充実を図りつつ、きめ細かな対応を行ってまいります。
 また、不登校への対応としましては、市で独自に配置している適応指導教室の指導員や福祉連携における「つながるシート」の活用等により、学校にも適応指導教室にも繋がらないなど、支援が届きにくかった児童生徒に対する訪問型の支援を拡充してまいります。また、NPO法人「フリースペースかめっこ」との連携を強化し、教職員の研修や児童生徒の進路相談等の取り組みを適宜行ってまいります。さらには、市立図書館の一部を活用し、学校に行きづらい児童生徒の新たな居場所とした「サークルルーム」の取り組みを先月より実施しているところでございます。

 次に、教職員に関しまして、学校における働き方改革として、本年度から学校の日常業務を電子化・効率化し、連携や引継ぎ等も行うことができる「統合型校務支援システム」を導入いたしました。その運用により、学校で取り扱う様々な情報の一元管理が可能になり、教職員が児童生徒と向き合う時間や、教材研究の時間を生み出すことが期待されます。
 次に、コミュニティ・スクールの充実について、各学校において、地域住民や保護者等が学校運営に参画しつつ、児童生徒一人ひとりが主体的に関わり、他者と協力する場面を取り入れた体験活動を実施する等、地域に開かれた特色ある教育実践を展開していくとともに、各学校における取組事例の交流や学校運営協議会の運営充実に向けた研修を進めてまいります。
 最後に、今後の中学校部活動のあり方につきまして、国や県の動向を見つつ、また、他市町との情報交換や健康福祉部等とも連携をしながら、地域のニーズを踏まえて「指導者の確保」、「運営団体・実施主体の整備」及び「費用負担」等の課題について、方向性の整理を行ってまいります。

 続きまして、学校施設の整備関係について、ご説明申し上げます。
 学校施設の計画的な環境整備を図るため、昨年度からの2か年事業として実施しております学校施設等長寿命化計画の策定につきましては、昨年度の施設現況把握の調査結果を基に策定作業を進めており、本年末に完了する予定でございます。
 次に、工事関係といたしましては、亀山東小学校体育館屋根改修工事について、先月25日に工事請負契約を締結し、着工準備を進めているところでございます。なお、改修工事につきましては、概ね夏休み期間中に終了する予定でございます。
 次に、学校給食関係として、中学校全員喫食制給食実施事業につきましては、早期の事業実施に向け、多角的な視点から持続可能性や経済性等を考慮し再検討を行い、基本計画の策定を進めております。
 また、食料品価格等の物価高騰による小中学生の保護者負担の軽減に向け、小中学校における給食費の増額分等を国の新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金を活用し財源とするため、本議会に関係経費の予算補正を提案いたしております。

 続きまして、生涯学習関係について、ご説明申し上げます。
 まず、地域の学び推進事業につきましては、かめやま人キャンパスと公民館事業を基軸に様々な学びを提供し、地域の課題解決に取り組む人材育成を行うとともに、「亀山学びのガイドブック」を発行し、市内の学びに関する情報の一元的な発信を進めています。
 学びの成果を生かして地域で活躍する場を創出していく第2期の「かめやま人キャンパス」では、本年度、「まちのインフルエンサー養成講座」として、SNSを活用した情報発信方法や、魅力的な文章の書き方、思わず目を引いてしまうチラシのデザイン方法等、情報発信に関する様々な手法を学び、地域の魅力を発信していく担い手を養成する講座を設定しています。また、「まちのせんせい養成講座」においては、新型コロナウイルス感染症の影響等で活用が広がったZoomやYoutubeを使ったオンライン講座の仕方や指導方法、講座の企画・構成のポイントを学び、自分の特技や趣味等を活かした地域の学びの担い手を養成する講座を設定しています。
 また、公民館講座につきましては、地域まちづくり協議会や市内で活動している団体、市内高等学校とも連携しながら、今月から順次講座を開講しています。
 次いで、子育て学習展開事業につきましては、子育て家庭に向けた応援メッセージとなる「かめやまお茶の間10選(実践)」のさらなる浸透・定着に向けた取り組みを継続して進め、家庭教育出前講座等を実施するとともに、児童生徒のゲーム機・情報機器やSNS等との関わりを通して、家庭や関係団体等の課題意識醸成を進めることにより、家庭教育の向上に取り組んでまいります。
 また、放課後子ども教室推進事業につきましては、放課後や週末に地域の方々の参画を得ながら、地域の中で子どもが安心して学習活動や体験・交流活動が行える環境づくりに努めてまいります。

 続きまして、図書館関係についてご説明申し上げます。
 市立図書館では、開館以降多くの方にご来館をいただいているところです。学校連携におきましては、授業で作成したおススメ本を紹介するポップの展示や行政連携等によるテーマ展示等も進めており、より多くの人に来館していただく取り組みを進めてまいります。
 次に、図書館を核とする読書活動の市民参画を進めるため、よみきかせや書架整理等図書館における個人ボランティアの募集を始めます。ボランティア団体との意見交換を行いながら、市民交流イベントの開催や参加者同士の交流の機会につなげる取り組みも進めてまいります。
 また、図書館が果たす役割や図書館サービスの機能が効果的に発揮されているかなど、図書館運営にかかる評価方法を本年度中に確立するため、図書館協議会にて議論を進めているところです。
 今後も、市民の読書活動の推進とともに、学びと交流の場の創出に向けて取り組みを進めます。

 以上、教育行政の現況についてのご報告及びご説明を申し上げました。何卒よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。