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意見書・決議(令和3年9月)

公開日 2022年02月10日

意見書
件名  義務教育費国庫負担制度の充実を求める意見書
本文

 義務教育費国庫負担制度は、憲法の要請に基づく義務教育の根幹である

「無償制」、「教育の機会均等」を保障し、「教育水準の維持向上」を図るため、国が責任をもって必要な財源を措置するとの趣旨で確立された制度です。

 教育の全国水準と機会均等を確保する義務教育の基盤をつくるためには、教職員の確保、適正配置、資質向上及び教育環境整備等諸条件の水準を保障すべきであり、そのために必要な財源を安定的に確保することが不可欠です。

 現行制度においては、「職員の給料その他の給与及び報酬等に要する経費」のみが負担対象経費とされています。かつて対象であった教材費等は、1985年に対象外となり、一般財源としての措置のままとなっています。義務教育の水準が安定的に確保されるためには、一般財源ではなく、国庫負担金による財源確保の対象の拡大、更にはその増額が極めて重要と考えるところです。

 新型コロナウイルス感染症の影響もあり、オンライン教育を進めるための環境整備が行われましたが、端末配備や通信インフラ整備等の進捗状況には都道府県間格差・市町村格差があり、子どもたちの学びの機会は、均等であるとは言えません。また、現在中央教育審議会「新しい時代の学校施設検討部会」において学校施設整備指針の改定に向けた議論が進められていますが、新たな指針が示されたとしても整備に要する経費が一般財源による措置のままでは、自治体間の格差は解消されません。

 未来を担う子どもたちの「豊かな学び」を保障することは、社会の基盤づくりにとって極めて重要なことです。義務教育については、国が責任を果たすとの理念にたち、教育に地域間格差が生じないよう、必要な財源を確保する義務教育費国庫負担制度の存続はもとより制度の更なる充実が求められます。

 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

 

 

 1.義務教育の根幹である「無償制」、「教育の機会均等」を保障し、「教育水準の維持向上」を図るため、国の責務として必要な財源が確保されるよう、義務教育費国庫負担制度の更なる充実を図ること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 令和3年9月28日

 

意見書
件名  教職員定数改善計画の策定・実施と教育予算拡充を求める意見書
本文

 子どもたちの姿を出発点とした主体的で協働的な「豊かな学び」を実現するためには、教職員定数の改善が、最も重要な環境整備の一つだと考えます。

 2021年4月、国の学級編制の標準が40年ぶりに引き下げられ、小学校35人学級が実現しましたが、今年度は加配定数を振り替える形で行われており、教職員数の実質増となってはいません。また、今後5年間で2年生から順次引き下げるとしていますが、中学校や高等学校等については、現時点においては、学級編制の標準の引下げはありません。

 国際的な比較においても、日本の1クラス当たりの児童生徒数は小学校27人、中学校32人で、2020年経済協力開発機構(OECD)公表値(小学校21人、中学校23人)と比較すると、どちらも大きく上回っている状況であり、小学校のみの改善に留めることは合理的ではないと言わざるをえません。

 教職員が心身ともにゆとりを持って子どもたちと向き合い、日々の教育活動を創り出していくことは、子どもたちの「豊かな学び」の保障につながる基盤となるものです。子どもたちが安心・安全に学べるようにするためにも、さらなる学級編制の標準の引き下げと、基礎定数と加配定数をともに改善する新たな教職員定数改善計画の策定と実施が強く望まれます。

 教育の今日的課題の複雑化・多様化による学校現場の業務量は、増加の一方であり、「学校における働き方改革」が叫ばれる中、人的配置をはじめとする財政措置は、未だ不十分であると言わざるを得ません。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、保護者が子どもたちを学校へ通わせるためには、マスクや消毒液等の感染対策に係る保護者の経費負担は確実に増加しており、ICTに関する費用も、新たな保護者負担として生じています。公財政として措置される教育予算を拡充し、教育条件整備を進めていくことが、山積する教育課題の解決へとつながり、そして、子どもたち一人ひとりの「豊かな学び」を保障することになると考えます。

 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

 

 

 1.子どもたちの「豊かな学び」の保障に向け、教職員定数改善計画の策定・実施と教育予算の拡充を行うこと。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 令和3年9月28日

 

意見書
件名  防災対策の充実を求める意見書
本文

 県内において、子どもたちが通う9割以上の公立学校が避難所指定を受けており、有事の際には地域の避難所となることが予想されますが、23.3%に当たる117校の小中学校が県の公表する津波浸水想定区域内に立地し、うち107校は避難所に指定されています。

 2015年に津波対策のための不適格改築事業の拡充が行われましたが、補助要件である「津波防災地域づくりに関する法律」に基づく「津波防災地域づくり推進計画」の策定は、全国的にも進んでおらず、支援制度の活用が難しい状況です。補助要件の緩和、補助対象の拡大等支援制度の更なる拡充を求めます。

 また、昨年度以降、新型コロナウイルス感染症拡大の状況においても、災害時には避難所が開設されています。2020年9月、内閣府等から「新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練ガイドライン(第2版)」が示されました。感染症対策として、PPE(個人用防護具)の準備、発熱・咳等の症状が出た方や濃厚接触者とされる方との施設やスペースの分離等が記載されていますが、それぞれの自治体において施設やスペース、資材、人材が十分に確保できるのか、危惧するところです。

 災害や感染症は、いつ発生するかわかりません。性やプライバシーに関する課題や、外国人、介助・介護が必要な高齢者、障がい者、女性、乳幼児等への配慮など、まだまだ改善すべき課題は山積しており、政府の責任において、安心して被災者が避難できるように備えるべきです。過去の災害に学び、最善の備えを整えていくという考えのもと、防災に関わる施策が更に充実されることを強く望むところです。

 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

 

 1.子どもたちの安心・安全を確保するため、巨大地震等の災害を想定した防災対策の充実を図ること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 令和3年9月28日

 

意見書
件名  子どもの貧困対策の推進と就学・修学支援に関わる制度の拡充を求める意見書
本文

 新型コロナウイルス感染症の影響で、収入減や失業による生活困窮等、経済的危機に直面している家庭が増えています。政府は、大学等での修学の継続ができるよう、「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』を創設しましたが、文部科学省の調査によると、2020年度における大学等の中途退学者・休学者数のうち、新型コロナウイルス感染症の影響と判明している学生の数は6,651人にもなります。

 また、厚生労働省の「国民生活基礎調査(2019)」によると、「子どもの貧困率」は13.5%、およそ子ども7人に1人の割合で貧困状態にあるとされています。また、大人が1人の世帯の相対的貧困率は48.1%と、大人が2人以上いる世帯(10.7%)より著しく厳しい経済状況に置かれています。

 「第二期三重県子どもの貧困対策計画」の基本理念にもあるように、「生まれ育った家庭の経済状況にかかわらず、三重の子どもが、必要に応じた教育支援、生活支援、親への就労支援等によって、夢と希望を持って健やかに成長できる環境整備が図られている状況」をめざさなければなりません。支援を必要とする子どもたちに対して、相談体制などを充実させる取組みや、学校だけでは解決が困難な事案について、関係機関と連携した支援を行うなどの取組みが今以上に進められていく必要があり、貧困の連鎖を断ち切るための教育に係る公的な支援が、極めて重要であり、就学・修学保障制度の更なる拡充が必要と考えます。

 高等学校等就学支援金制度においては、標準的な修業年限を超過した場合、就学支援金の対象とならない等の課題もあります。また、高等教育の修学支援新制度が作られ、改善・充実してきていますが、全ての大学・短期大学、専門学校が対象となっていないなど、制度の更なる改善を求めていかなければなりません。経済格差を教育格差に結びつけないために、就学・修学支援に関わる制度・施策のより一層の充実が求められています。

 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

 

 

 1.全ての子どもたちの学ぶ機会を保障するため、子どもの貧困対策の推進と就学・修学支援に関わる制度を拡充すること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
提出先 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 令和3年9月28日

 

意見書
件名  コロナ禍による厳しい財政状況に対処し地方税財源の充実を求める意見書
本文

 新型コロナウイルス感染症のまん延により、地域経済にも大きな影響が及び、地方財政は来年度においても、引き続き、巨額の財源不足が避けられない厳しい状況に直面しています。

 地方自治体では、コロナ禍への対応はもとより、地域の防災・減災、雇用の確保、地球温暖化対策などの喫緊の課題に迫られているほか、医療介護、子育てをはじめとした社会保障関係経費や公共施設の老朽化対策費など将来に向け増嵩する財政需要に見合う財源が求められます。

 その財源確保のため、地方税制の充実確保が強く望まれます。

 よって、国においては、令和4年度地方税制改正に向け、下記事項を確実に実現されるよう、強く要望します。

 

 

 1.令和4年度以降3年間の地方一般財源総額については、「経済財政運営と改革の基本方針2021」において、令和3年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとされているが、急速な高齢化に伴い社会保障関係経費が毎年度増大している現状を踏まえ、他の地方歳出に不合理なしわ寄せがなされないよう、十分な総額を確保すること。

 2.固定資産税は、市町村の極めて重要な基幹税であり、制度の根幹を揺るがす見直しは家屋・償却資産を含め、断じて行わないこと。生産性革命の実現や新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として講じた措置は、本来国庫補助金などにより国の責任において対応すべきものである。よって、現行の特例措置は今回限りとし、期限の到来をもって確実に終了すること。

 3.令和3年度税制改正において土地に係る固定資産税について講じた、課税標準額を令和2年度と同額とする負担調整措置については、令和3年度限りとすること。

 4.令和3年度税制改正により講じられた自動車税・軽自動車税の環境性能割の臨時的軽減の延長について、更なる延長は断じて行わないこと。

 5.炭素に係る税を創設又は拡充する場合には、その一部を地方税又は地方譲与税として地方に税源配分すること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
提出先 内閣総理大臣 財務大臣 総務大臣 経済産業大臣 経済再生担当大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 令和3年9月28日