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教育行政現況報告

公開日 2021年06月04日

 令和3年6月亀山市議会定例会の開会に当たり、教育行政の現況と今後の見通しについてご報告し、議員並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
 まず、教育における新型コロナウイルス感染症に係る国の情勢としまして、文部科学省は去る4月28日、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~学校の新しい生活様式~」の改訂を行い、「従来株と比較すると、変異株の子どもの感染力は強い可能性がある」としながらも、「地域の感染レベルに応じた教育活動を継続すること」としています。加えて5月7日には「緊急事態宣言等を踏まえた、小学校、中学校及び高等学校等における新型コロナウイルス感染症への対応に関する留意事項について」を発出し、これまで以上に感染症対策を徹底するとともに、「学習活動を工夫しながら、可能な限り学校行事や部活動等も含めた学校教育活動を継続し、子どもの健やかな学びを保障していくことが重要」としています。
 県におきましても、去る 4月26日に「三重県新型コロナウイルス緊急警戒宣言 (改訂版)を踏まえた対応について」を発出し、感染症対策と健康管理の徹底を改めて周知するとともに、教育活動、部活動、学校行事等の対応について 具体的な留意点 を示しています。
 本市といたしましても、教育における学校行事や体験活動は大変重要な活動であることから、刻々と変わる状況に対しまして適切に対応できるように、必要な対策を各学校、幼稚園等に対して通知してまいりました。そのような中、教育諸活動の実施につきましては、学校規模や活動内容、その時の感染状況等を勘案しつつ判断しているところでありますが、新型コロナウイルス感染症拡大の状況は、学校行事や対外活動を中心に大きな 影響を及ぼしているところでございます 。
 個別の行事における影響といたしましては、中学校の修学旅行や小学校の宿泊研修において、延期や目的地の変更等が生じています。なお、修学旅行につきましては、今後、キャンセル料等が発生した場合に保護者及び引率者の負担とならないよう、予算補正を本議会に提案させていただいております。
 また、例年6月に行われている中学校2年生の職場体験学習につきましては、昨年度に引き続き、中止とする判断をいたしたところでございます。
 遠足や運動会、中体連春季大会等の行事につきましては 、目的地や実施方法を検討の上、感染防止対策を十分に行いながら実施をしているところでございます。

 一方、新型コロナウイルス関連以外の国の動向といたしましては 、本年1月に中央教育審議会は「令和の日本型学校教育の構築を目指して」を答申 しており、今後のすべての子どもたちの個別最適な学びと協働的な学びを目指すとしています。また、GIGAスクール構想におけるICTの積極的な活用等、新たな取り組みの重要性に言及しつつ、従来から行われている「学習機会と学力の保障」、「全人的な発達・成長の保障」、及び「身体的、精神的な健康の保障」の重要性についても再認識した上で、それぞれを適切に組み合わせる教育活動を求める内容となっています。
 そのような内容に沿って、本年度より中学校におきましては、新学習指導要領が本格実施され、新しい時代に必要な資質・能力を「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力」、及び 「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱に整理した上で、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を目指すこととしています。

 次に、県の情勢でありますが、学習教材のデータベース化や教材等の個別端末上での回答集計等、教職員の負担軽減を図りつつ、県と市町が協力して、より一層のICTの効果的活用を行うこととしております。
 また、いじめや不登校等の教育的課題への対応といた しましては、個別案件に対応する弁護士等専門家の派遣拡大、スクール・カウンセラー及びスクール・ソーシャルワーカーの配当時間の増加、各中学校に対する「教育相談員」の新規配置、夜間や休日等も対応できる相談窓口やSNSを使った相談の充実等、一人ひとりに対してきめ細かな支援を行う仕組みづくりを進めるとしています 。
 加えて、令和2年度に設置された「三重県幼児教育センター」の活動が本年度より本格実施されることとなり、「幼児教育スーパーバイザー」等の派遣対象が県内全域に拡大される等、就学前教育の充実が図られております。
 こうした国や県の動向や施策を見極めつつ、市教育委員会といたしましては、引き続き「亀山市教育大綱」の基本理念「学びあふれる教育のまち かめやま」の具現化に向け、最終年度となる「亀山市学校教育ビジョン」や「亀山市生涯学習計画」等に基づいた具体的な実践を着実に推進していくとともに、それぞれの計画改定に向けて準備を進めているところでございます。

 それでは、それぞれの事業進捗につきまして、最初に学校教育関係についてご説明申し上げます。
 まず、本市における学校教育の基本理念や施策の方向性を示す「亀山市学校教育ビジョン」につきましては、本年度が計画期間の最終年度となることから、新しい時代に必要となる資質・能力の育成を柱とした次期学校教育ビジョンの改定作業を進めております。
 次に、教職員の研修及び学力向上の取り組みといたしましては、教育現場の教育力の向上を目指し、「令和3年度亀山市教育関係職員の研修方針」におきまして「情熱と誇りをもち、学び続ける教職員」を目指す姿とし、「亀山市学力向上推進計画(第3版)」に沿った授業改革を推進しています。また、国語科における「読む力」「読み取る力」「書く力」の定着を図るため、市販のテストを取りやめ、市教育委員会が独自に作成している「確認テスト」を本年度から全ての小学校に拡大して実施することとしたところでございます。
 次いで、学校における働き方改革の取り組みといたしましては、昨年度からの取り組みに加え、長期休業中における学校閉校期間の拡大や、「スクール・サポート・スタッフ」の効果的な活用等を進めつつ総勤務時間の縮減を推進してまいります。
 次に、コミュニティ・スクールにつきましては、本年度から新たに亀山東小学校及び亀山中学校の2校に学校運営協議会が設置され、市内全ての小中学校がコミュニティ・スクールとなったところです。各学校において、地域住民や保護者等が学校運営に参画しつつ、より一層地域に開かれた特色ある取り組みを展開していくとともに、各学校における取組事例の交流も進めてまいります。
 次に、人権教育の取り組みといたしましては、来る10月16日及び17日に本市と鈴鹿市を会場として「第55回三重県人権・同和教育研究大会」が開催される予定となっております。大会では本市における人権教育の推進に関する地元報告を行うことになっており、昨年度組織改編された「亀山市人権教育推進協議会」が中心となって 、現在準備を進めているところで ございます 。
 次いで、情報教育につきましては、各学校における1人1台端末の活用を支援するため、市の情報教育担当研修員を2名体制として学校に対する派遣回数を増やすとともに研修機会の充実を図る等、本年度の重点的取組としてICTの有効活用を推進してまいります。
 次いで、いじめ問題の対応といたしましては、 各学校の「いじめ基本方針」における取り組みを着実に実践するとともに、各学校における学期1回以上のいじめアンケートの実施や学級満足度調査等の効果的活用、全ての児童生徒に対する個別面談の実施等、きめ細かな対応を行ってまいります。
 また、不登校への対応といたしましては、本年度より増員した適応指導教室の指導員を活用して、学校にも適応指導教室にも繋がらないなど、支援が届きにくかった児童生徒に対する訪問型の支援や、ICTの活用による学びの保障等、より一層の 個に応じた支援を進めてまいります。加えて、学習機会や居場所を確保するため、NPOと連携した事業についても具体的な検討を進めているところでございます。
 次いで、文化芸術活動の取り組みといたしましては、市文化会館と連携した取り組みとして、アーティストが各学校を巡回して少人数の鑑賞会を行うアウトリーチ事業を実施いたします。今月30日から新日本フィルハーモニー交響楽団が、来月上旬には若手ピアニストによる「ピアノふれあいコンサート」が予定されております。また、文化系の部活動や「NHK全国学校音楽コンクール」等に関する取り組みにつきましても、活動場所や練習方法を工夫しつつ準備を進めているところでございます。
 次に、体力向上の取り組みといたしましては、健康運動実践指導士等の外部講師を各学校、幼稚園等に派遣し、現状においても実施できる体育の授業や遊びの工夫等についての研修を行ってまいります。また、運動部の活動におきましては、練習試合等対外交流は十分に行えないものの、その時の感染状況に対応しつつ活動を継続しているところでございます。

 続きまして、学校施設の整備関係について、ご説明申し上げます。
 関学校給食センター空調機更新工事につきましては、厨房や下処理室等の空調機14台の更新を行い、調理業務の環境改善に努めてまいります。また、井田川小学校多目的室屋根防水工事につきましては、屋根の全面防水を行い、子どもたちが快適な学校生活を送ることができるよう整備を進めてまいります。
 また、各学校施設について、消火ポンプや自動火災報知設備の改修など必要な工事・修繕に係る発注の事務を同時に進めているところでございます。
 次に、学校給食関係につきましては、本年4月から給食費の公会計制度を導入し、学校給食費の適切な管理と教職員の業務負担軽減及び給食の安定的な実施に取り組んでいるところでございます。
 また、去る4月28日に開催された総合教育会議におきましては、3月に策定した「学校給食提供に関する今後の方向性」を踏まえ、教育等の振興を図るため重点的に講ずべき施策について、市長と協議を行ったところでございます。今後も、引き続き様々な施策の実現に向けて取り組んでまいります。

 続きまして、生涯学習関係について、ご説明申し上げます。
 まず、本年度が計画期間の最終年度となります「亀山市生涯学習計画」につきましては、ICTの活用やSDGsなどの新たな視点を踏まえて改定作業を進めてまいります。
 次に、学びの成果を生かして地域で活躍する場を創出していく「かめやま人キャンパス」につきましては、3年目を迎える本年度は、応用編として受講者が地域で活躍できるよう、市内外で活動している団体や行政講座との連携を試行してまいります。
 また、公民館講座につきましては、地域まちづくり協議会や市内で活動している団体、市内高等学校とも連携しながら、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を講じた上で、今月から順次講座を開講してまいります。
 次に、子育て家庭に向けた応援メッセージとなる「かめやまお茶の間10選(実践)」につきましては、強化週間の取り組みを1学期及び2学期の2回に増やし、振り返りカードを活用した家庭での取り組みを進めることにより、さらなる浸透・定着に努めてまいります。
 放課後子ども教室推進事業につきましては、放課後や週末に地域の方々の参画を得ながら、引き続き安全・安心な居場所づくりに努めてまいります。
 次に、図書館整備事業につきましては、亀山駅周辺整備事業との緊密な連携の下、令和5年の開館を目指し、施設整備の進捗を着実に図るとともに、新図書館における管理運営や組織体制の具体的な検討及びそれに伴う例規整備を進めているところでございます。なお、図書館整備事業に対する国庫補助金が、前倒しで増額交付の内示がありましたことから、 予算補正を本議会に提案させていただいております。
 次に、本年度が計画期間の最終年度となります「亀山市子どもの読書活動推進計画」につきましては、新図書館における子どもの読書活動推進の取り組みを見据えた改定作業を進めてまいります。また、引き続き新型コロナウイルス感染症の感染防止対策に万全を期し、市民が安心して読書活動ができる図書館運営に努めてまいります。

 以上、教育行政の現況についてのご報告及びご説明を申し上げました。何卒よろしくご審議賜りますようお願い申し上げ ます。