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教育行政現況報告

公開日 2020年05月29日

 令和2年6月亀山市議会定例会の開会に当たり、教育行政の現況と今後の見通しについてご報告し、議員並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 まず、教育における新型コロナウイルスに係る国の情勢としましては、今月14日に行われた専門家会議の提言を受け、国は三重県を含む39の県で「緊急事態宣言」を解除しました。その後、今月25日には全ての都道府県で緊急事態宣言が解除されました。これらの状況を受けて、教育の現場においても「新しい生活様式」による感染拡大防止の対応を行いつつ、全国の多くの地域で学校の再開を進めることとなりました。文部科学省は学習の遅れが生じていることを踏まえ、授業時間が圧縮された中でも十分な学びができるよう、学校に提供する参考資料を、教科書会社と連携して示す方向で検討に入りました。
 また、学校の臨時休業が長期にわたったことを受け、多方面から「9月入学制」に関する意見が出されていますが、慎重論も多い状況にあります。

 県におきましても「感染拡大阻止緊急措置」の一環として県立学校の臨時休業を継続していましたが、国の「緊急事態宣言」解除を受け、県立学校の臨時休業を前倒しで解除することとなりました。
 今月18日からの学校の再開にあたっては、「県立学校における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」に沿って分散登校等を行い、段階的に教育活動を再開することとしております。

 新型コロナウイルスは本市の教育においても様々な影響を与えております。他の地域と同様に本市におきましても学校・園の臨時休業が延長となり、遠足や運動会、修学旅行、職場体験学習、プール水泳、英語デイキャンプ等、1学期中の重要な行事についてもほぼ全てが延期や中止となりました。また、学力向上の1つの指標として毎年4月に実施されている「全国学力・学習状況調査」につきましては中止、「みえスタディ・チェック」につきましては、来たる9月末まで実施期間が延長となりました。
 臨時休業の期間において、各学校・園では家庭訪問等を継続的に行い、園児、児童生徒の生活状況を確認するとともに、放課後児童クラブの利用者に関しては各小学校における児童預かりを行い、特別な支援が必要な児童等に関しては個別に相談に応じるなどの対応を行ってまいりました。
 なお、臨時休業が長期化する中、通信教育「がっこう定期便」を開始し、家庭における学習成果をこまめに回収し、教職員が個々の児童生徒の学習進度や理解度を確認しながら、ていねいな対応を行ってきました。また、ケーブルテレビを活用した市独自の教育番組を制作し、随時内容を更新しながら放送を行うとともに、ICT機器を活用したオンライン学習につきましても、各学校が家庭学習に活用できるサイトを紹介したり、ホームページ上から動画を視聴できるように設定したりする等の取組を行ってまいりました。
 なお、経済的な理由によりオンライン学習の環境を整えることが困難な家庭に対して支援を行う「亀山市オンライン学習支援特別給付金」に関しましては、すでに案内を発送し、現在給付に関する作業を行っているところでございます。
 そのような中で、本市におきましても今月20日から学校の再開を前倒しで行うこととし、各学校におきましては、教室内が密にならないよう分散登校等により感染防止の対策を行いつつ、5月31日までの期間に半日の登校日を5回設定いたしました。今後につきましては、感染防止ガイドラインに沿って、来月1日より部活動や給食の実施を含めた通常の教育活動を進める予定でございます。
 各学校における新型コロナウイルス感染症対策としましては、手洗いや咳エチケットなどの基本的な対策はもとより、密集、密閉、密接を避けることを徹底するとともに、家庭生活においても同様の指導を行っているところであります。
 そのような中で、マスク等の衛生資材につきましては、必要な資材を各校に配布いたしており、また、国が児童生徒に布製マスクを配布したほか、個人、法人の方からマスクや消毒液のご寄贈もいただいております。さらに、児童生徒に個別の飛沫防止用卓上シールドを、教員等にフェイスシールドを配布する予算補正を今議会で計上いたしております。
 これらを活用し、国の「新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドライン」に沿って、感染予防対策を徹底してまいります。

 学校以外における対応でございますが、図書館につきましては、窓口の飛沫防止パーティションの設置、消毒液の備え付け、「3つの密」防止などの感染予防対策を実施し、今月20日から開館することといたしました。
 鈴鹿峠自然の家につきましては、県外在住者の利用自粛を要請しつつ、近日中に宿泊を除く利用を再開する予定でございます。
 公民館事業につきましては、8月までの講座を延期若しくは中止することとし、9月からの講座開講に向けて、準備を進めているところでございます。

 新型コロナウイルス関連以外の国の動向といたしましては、小学校において学習指導要領が本年度より本格実施され、新しい時代に必要となる資質・能力の育成や主体的・対話的で深い学びの実現を目指し、教科書もそれに沿って新しくなりました。また、中学校においては新学習指導要領への移行の年であり、来年度以降に使用する新たな教科書の採択が行われます。
 また、文部科学省は、全国一律のICT環境整備が急務であるという認識の下、これまでの「教育のICT化に向けた5か年計画」・「GIGAスクール構想」を大幅に前倒しし、児童生徒1人に1台の端末と、高速大容量の通信ネットワークの整備を全国のすべての小中学校において完備する計画を可能な限り早期に完了することとしております。

 次に、県の情勢でありますが、教育を取り巻く社会情勢の変化や課題に的確に対応するため、令和2年度から4年間における三重の教育の基本方針である「三重県教育施策大綱」及び教育施策を着実に進めていくための指針となる計画として、本年3月「三重県教育ビジョン」「第二次行動計画」「第四次三重県子ども読書活動推進計画」を策定しました。県は、「三重県教育ビジョン」に込める3つの思いとして、①「誰一人取り残さない教育の実現」、②「子どもたちの豊かな未来を創っていく力の育成」、③「オール三重による教育の推進」を掲げ、学校だけでなく社会全体総がかりで三重の教育を推進することとしています。

 こうした、国や県の動向や施策を見極めつつ、教育委員会といたしましては、引き続き「亀山市教育大綱」の基本理念「学びあふれる教育のまち かめやま」の具現化に向け「亀山市学校教育ビジョン」「亀山市生涯学習計画」及び「亀山市子どもの読書活動推進計画」の具体的な実践を着実に推進してまいります。

 それでは、最初に学校教育関係について、ご説明申し上げます。
 まず、学校における働き方改革の取組といたしましては、「亀山市立小学校及び中学校における教育職員の在校等時間の上限等に関する方針」を本年3月に策定し、教員の時間外労働時間の上限を原則月45時間、年間360時間と定め、先月から適用しております。それに伴い、今月から校務用パソコンのログを活用して、教職員一人ひとりの在校時間の客観的把握に努めております。また、「スクール・サポート・スタッフ」6名を小中学校に配置し、教員の事務負担軽減を図っております。外部人材の活用や長期休業中における学校閉校日の拡大につきましても継続して取り組むとともに、時間外労働時間削減に向けた教職員の意識改革を促し、学校における業務改善等の進捗状況を把握しながら、総勤務時間縮減を推し進めてまいります。
 次に、コミュニティ・スクールにつきましては、これまでの9校に加え、本年度から新たに亀山西小学校、井田川小学校及び中部中学校の3校に学校運営協議会が設置されました。また、亀山東小学校、亀山中学校におきましても準備校として設置に向けた研究と準備を進め、来年度には、市内全小中学校への学校運営協議会設置を進める予定でございます。
 続きまして、教育研究関係について、ご説明申し上げます。
 まず、本市における学校教育の基本理念や施策の方向性を示す「亀山市学校教育ビジョン」につきましては、その計画期間が残すところ2年となります。そこで、新しい時代に必要となる資質・能力の育成を柱とした次期学校教育ビジョンの策定作業に着手してまいります。
 次に、教職員の研修関係につきましては、教育現場の教育力の向上を目指して、「令和2年度亀山市教育関係職員の研修方針」において「情熱と誇りをもち、学び続ける教職員」を目指す姿とし、「亀山市学力向上推進計画(第3版)」に沿った授業改革を推進してまいります。
 次いで、豊かな心を育む教育につきましては、この度、野登小学校が「子供の読書活動優秀実践校」として、文部科学大臣賞を受賞いたしました。これは、学校図書館の環境整備、児童の主体的な活動、学校司書と、地域ボランティア・学校図書館アドバイザーとの連携等、今まで学校が行ってきた取組が、高く評価されたものでございます。
 次に、本市における人権教育の更なる推進を目指し、市の人権施策の取組と学校現場における人権教育との連携を強化するために、亀山市人権教育協議会の体制の見直しを行いました。この組織を核として、各中学校区のネットワーク組織と協力しながら取組を進めてまいります。また、「亀山市人権教育基本方針」にのっとり、人権を守るために積極的に行動できる主体者づくりに取り組んでまいります。
 次いで、生徒指導につきましては、国の「魅力ある学校づくり調査研究事業」を活用し、小中連携による新たな不登校児童生徒を生まない取組等を市内全小中学校に拡大し、引き続き「確かな学力の育成」及び「子どもたちの居場所づくり・絆づくり」を進めるとともに、道徳教育、人権教育の充実をはじめ、全ての教育活動を通して、共に認め合い、支え合う学級集団づくりに取り組んでまいります。
 また、鈴鹿児童相談所や警察等の諸機関及び健康福祉部局との連携をさらに強化し、「いじめ」「不登校」及び「虐待」等の防止及び事案解消に努めてまいります。
 次に、小学校の外国語活動・外国語科につきましては、英語専科教員3名や小学校英語指導対応非常勤講師6名の配置により、指導の充実と小中学校の連携を図っています。さらに、英語で「話す」「聞く」「読む」「書く」の4技能の定着度を客観的に測るパフォーマンス評価「英語チャレンジ」を実施します。中学校においては、2、3年生を対象に外部テストを導入し、授業改善を図ります。
 次いで、情報教育につきましては、ICT機器を活用した学習等に活用できるソフト充実に向けて、市独自の教育コンテンツを制作する予算および、国の「GIGAスクール構想」の前倒し実施の流れを受け、高速大容量通信ネットワークを市内全小中学校に整備することに加え、本年度中に児童生徒1人に対し1台の端末を配置する予算補正を今議会で計上いたしております。

 続きまして、学校施設の整備関係について、ご説明申し上げます。
 井田川小学校校舎増築・給食室改修事業につきましては、教室不足や給食室の老朽化等を解消するため、現在、工事発注に向けて取り組んでいるところであります。
 契約が整いましたら、児童等の安全に十分に配慮して工事を進め、子どもたちが安全で快適な学校生活が送ることができるよう整備を進めてまいります。
 一方、各学校施設について、例えば放送機器や遊具交換など必要な工事・修繕に係る発注の事務を進めているところでございます。

 続きまして、生涯学習関係について、ご説明申し上げます。
 まず、昨年からスタートいたしました新しい学びの場である「かめやま人キャンパス」につきましては、1年目に実施しました「まちのくらし人養成講座」、「まちの歴史人養成講座」、「森と水の守り人養成講座」、「まちの起業人養成講座」の4つのコースの2期生を募集いたしております。2年目の講座では、1期生と2期生のジョイント講座を行い、仲間づくりの幅を広げるとともに、講座同士のコラボレーションや、新たなフィールドワーク、行政講座との連携講座を行ってまいります。
 次に、家庭教育の支援につきましては、昨年6月に策定いたしました子育て家庭に向けた応援メッセージとなる「かめやまお茶の間 10選(実践)」につきまして、具体的な実践に向けた取組として、ご家庭で実践されている市民の方の実践発表会の開催準備を進めているところでございます。
 次いで、新図書館の整備につきましては、亀山駅周辺整備事業との緊密な連携のもとで、郷土資料コーナーの展示設計、保留床購入の準備などを着実に進めてまいります。なお、図書館整備事業に対する国庫補助の制度再編が行われ、来年度交付予定の補助金が、前倒しで一部交付される内示がありましたことから、予算補正を今議会で計上いたしております。
 次に、現市立図書館につきましては、新図書館開館を見据えた管理運営が重要となってまいります。本年3月に策定しました「亀山市立図書館蔵書計画」及び「亀山市立図書館管理運営の基本的な方針」との整合を図りながら、新図書館におけるサービスや管理運営を具体的に展開するため、「亀山市市民読書活動推進計画」の策定を進めてまいります。

 最後に、教育功労者の表彰につきましては、これまで表彰させていただいた、学校教育ボランティア、登下校見守り関係、学校運営協議会・教育協議会、社会教育団体の各関係者の方々に加え、本年度は学校において保健衛生に貢献していただきました方々を中心に表彰させていただく準備を進めております。

 以上、教育行政の現況についてのご報告及びご説明を申し上げました。何卒よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。