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教育行政一般方針

公開日 2020年02月27日

 令和2年亀山市議会3月定例会の開会に当たり、教育行政の方針についてご説明申し上げ、議員並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 まず、国の情勢でありますが、新年度から、新学習指導要領が小学校において本格実施となります。新しい時代に必要となる資質・能力の育成や主体的・対話的で深い学びの実現を目指し、教科書も新しくなる中、学校現場では、指導法や授業改善等が一層求められています。
 また、文部科学省は、これから到来するSociety5.0時代を見据え、令和時代のスタンダードな学校像として、全国一律のICT環境整備が急務であるという認識の下、これまでの「教育のICT化に向けた5か年計画」に加え、新たに「GIGAスクール構想」を打ち出しました。具体的には、令和5年度までに、児童生徒1人に1台の端末と、高速大容量の通信ネットワークの整備を全国のすべての小中学校において完備するというものであります。
 一方、昨年12月の教職員給与特別措置法の改正により、文部科学省は、本年1月に「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針」を公示しました。これは、従前に示された公立学校の教員の時間外労働時間の上限を原則月45時間、年間360時間とする「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を指針として格上げしたものであり、本年4月から適用されます。
 さらに、新学習指導要領本格実施や学校における働き方改革に向けて、引き続き、小学校英語専科教員の配置等、教職員定数の改善や外部人材の拡充など、学校の指導・運営体制の強化・充実が図られようとしています。

 次に、県の情勢でありますが、教育を取り巻く社会情勢の変化や課題に的確に対応するために、新年度から4年間における三重の教育の基本方針である次期「三重県教育施策大綱」、及び、新年度から4年間を計画期間とし、教育施策を着実に進めていくための指針となる次期「三重県教育ビジョン」が令和元年度中に策定されます。また、新年度から概ね5年間を計画期間とし、家庭・地域・学校において子どもの発達段階に応じた読書習慣の形成を効果的に図るための方策を示す「第4次三重県子ども読書活動推進計画」も、令和元年度中に策定されるところであります。

 こうした国や県の動向・施策を見極めつつ、教育委員会といたしましては、引き続き、亀山市教育大綱の基本理念「学びあふれる教育のまち かめやま」を念頭に置き、「亀山市学校教育ビジョン」、「亀山市生涯学習計画」及び「亀山市子どもの読書活動推進計画」の具体的な実践を着実に推進してまいります。

 それでは、教育行政の各部門にわたり、新年度の取組及び事業計画をご説明申し上げます。
 はじめに、学校教育関係について、ご説明申し上げます。
 まず、学校体制の充実につきましては、新年度も引き続き、本市独自の「少人数教育推進教員」の効果的な配置によるきめ細かな教育の推進に努めてまいります。また、個の学び支援事業におきましては、学習生活相談員の効果的な配置や介助員、看護師等の適正配置に引き続き努力してまいります。
 次に、コミュニティ・スクールにつきましては、これまでの9校に加え、新年度から新たに亀山西小学校、井田川小学校及び中部中学校の3校で学校運営協議会の設置が予定されております。さらに、亀山東小学校、亀山中学校におきましても、設置に向けた研究と準備を進め、令和3年度には市内全小中学校への学校運営協議会の設置を目指してまいります。
 次いで、学校給食関係につきましては、公金化による適切な管理と教職員の業務負担軽減を図るため、令和3年度から給食会計の公会計化を実施いたします。新年度は公会計化に向けての例規整備や給食費徴収システムの稼働準備に着手いたします。
 また、中学校のデリバリー給食につきましては、注文締め切りをこれまでの1週間前から3営業日前に短縮し、生徒、保護者の利便性向上を図ってまいります。
 なお、地産地消を推進する「かめやまっ子給食」については、継続して取り組み、一層のメニュー充実を図るため生産者の方々との連携に努めてまいります。
 次に、教職員の働き方改革の取組といたしまして、国の指針や県が示す公立学校の教師の勤務時間の上限方針を参考にしつつ、本市としての上限方針を策定し、本年4月から運用してまいります。運用にあたり、校務用パソコンの使用時間の記録等を活用し、より客観的な勤務時間の把握に努めてまいります。引き続き時間外労働時間削減に向けた教職員の意識改革を促すとともに、学校における業務改善等の進捗状況を把握しながら、総勤務時間縮減を推し進めてまいります。
 さらに、「スクール・サポート・スタッフ」「部活動指導員」や学校ボランティア等、外部人材の積極的な活用や学校閉校日の拡大を進めてまいります。

 続きまして、教育研究関係について、ご説明申し上げます。
 まず、本市における学校教育の基本理念や施策の方向性を示す「亀山市学校教育ビジョン」については、その計画期間が残すところ2年となります。目指す子どもの姿である「希望に輝く心ゆたかな亀山の子どもたち」を育成するため、その進捗状況に留意し、目標達成に向けて取り組むとともに、次期学校教育ビジョンの策定作業に取りかかってまいります。
 次に、教職員の研修関係につきましては、教育現場の教育力の向上を目指して、「令和2年度亀山市教育関係職員の研修方針」を定めました。「情熱と誇りをもち、学び続ける教職員」を目指す姿とし、これまで以上に保幼小中の連携を大切にしながら教職員の資質や指導力、管理職のマネジメント能力の向上を図るため、より効果的な研修ができるよう講座構築いたします。
 次いで、学力向上につきましては、児童生徒一人ひとりの「確かな学力」の向上を目指して、「亀山市学力向上推進計画(第3版)」を推進してまいります。「書く力」・「読み取る力」の育成を柱とする取組を充実させるほか、社会に開かれた教育課程の実現や、習得・活用・探究を意識した総合的な学習の時間の充実を図ります。また、地域資源・地域人材の積極的な活用によるふるさと・キャリア教育を推進いたします。
 次に、新学習指導要領につきましては、小学校での本格実施を迎え、教科横断的・小中系統的な視点に留意した教育課程を編成し、学習の基盤となる資質・能力等の育成を図るとともに、「主体的・対話的で深い学び」の授業改善に努めてまいります。また、英語指導におきましては、「読む・書く・聞く・話す」の4技能の育成を進め、特に中学校では、各技能の定着度を客観的に測る外部試験を導入し、指導改善に生かしてまいります。また、令和3年度からの中学校新学習指導要領本格実施に向けて、教科用図書の採択を実施いたします。
 次いで、体力向上につきましては、体を動かすことが「楽しい」と感じられるような工夫や運動量の確保に留意した体育の授業改善等を進めるとともに、運動の日常化に取り組んでまいります。
 次に、豊かな心を育む教育につきましては、これまでの体験活動の場を一層工夫し、命の大切さや仲間を思いやる心の醸成を図ってまいります。また、市立図書館や歴史博物館、文化会館等との連携を深めながら、読書や文化芸術等に係る体験を通して、豊かな感性や人間性を育むとともに、従前からの取組である「かめやましファミリー読書リレー」に加え、昨年11月から始めた「かめやま読書チャレンジ」の取組により、子どもたちの読書習慣の定着を図ります。
 次いで、生徒指導につきましては、国の「魅力ある学校づくり調査研究事業」を活用し、小中連携による新たな不登校児童生徒を生まない取組等を市内全小中学校に拡大し、引き続き「確かな学力の育成」と「子どもたちの居場所づくり・絆づくり」を進めます。さらに、児童生徒理解・教育支援シートを有効に活用し、学校内や小中間における、個々の不登校児童生徒に関する支援情報の共有を進めます。いじめ問題につきましては、「亀山市いじめ防止基本方針」の下、今後も、いじめの実態を確実に把握するとともに、未然防止や早期発見・早期対応に努め、各校でいじめを許さない仲間づくりを進めてまいります。
 次に、情報教育につきましては、国の「GIGAスクール構想」の実現に向けて、計画的に整備を進めてまいります。ICTの活用により、児童生徒の学習への意欲・関心を高め、分かりやすい授業を実現するとともに、情報活用能力を確かなものとするために、児童生徒1人1台端末に対応できるよう高速大容量通信ネットワークの市内全小中学校整備を新年度内に目指しています。
 次いで、経済的理由等で家庭での学習環境が整いにくい中学生を対象に個別の学習支援を行う「学習教室」の開催につきましては、5年目を迎えることとなりますが、今後も受講生徒数の拡大と更なる充実に努めてまいります。
 次に、特別支援教育の推進につきまして、本市におきましても高度な医療的ケアを必要とする子どもが増加していることから、新たに「亀山市立保育所・幼稚園・認定こども園・小中学校における医療的ケア実施ガイドライン(仮称)」を策定し、対象となる幼児児童生徒の安全を第一とした適切な受け入れ体制を園・学校において整えてまいります。
 次いで、姉妹都市である岡山県高梁市との交流につきまして、新年度は、亀山中学校の生徒が高梁中学校を訪問し、両市の友好関係を深める予定でございます。

 続きまして、学校施設の整備関係について、ご説明申し上げます。
 まず、井田川小学校校舎増築・給食室改修事業につきましては、昨年度に引き続き、老朽化した給食室の改修工事を行うとともに、教室不足に対応するため校舎増築工事を実施いたします。
 その他、各学校施設の実情を見極め、必要に応じて工事・修繕を実施し児童生徒の学習環境の整備を進めてまいります。
 また、本市独自の取組である「通学路交通安全プログラム」につきましては、PTAや地域住民の皆様のご協力を得ながら、道路管理者、警察及び関係機関との連携により合同点検の実施や安全対策を講じることで、通学路の安全確保に努めてまいります。

 続きまして、生涯学習関係について、ご説明申し上げます。
 昨年6月から開講いたしました「かめやま人キャンパス」を引き続き開講し、歴史文化・自然環境・まちづくり・地域経済の4つの分野において学びの成果によって地域で活躍できる人材育成に取り組んでまいります。
 次に、家庭教育の支援については、昨年6月に策定いたしました子育て家庭に向けた応援メッセージとなる「かめやまお茶の間10選(実践)」の周知を図るとともに、家庭での実践事例の応募やその紹介などを行ってまいります。
 次いで、新図書館の整備につきましては、亀山駅周辺整備事業との緊密な連携のもとで推進を図り、中村晋也氏をはじめ郷土ゆかりの方の顕彰などを行う郷土資料コーナーの展示設計を進めてまいります。
 さらに、新図書館で提供するサービスや地域における読書活動推進などの具体的な方針を示す「市民読書活動計画」の策定や、作家や学識者などを招いて図書館フォーラムを開催し、新図書館の実現に向けての機運を高めるとともに、引き続き、図書館市民ワークショップの開催やニュースレターの発行など多様な形での情報発信を行ってまいります。
 次に、現市立図書館につきましては、新図書館へのつながりを見据えて、行政サービスのPRと市民への情報発信を目的としたテーマ図書展示を開催し、市民に役立つ図書館を目指してまいります。
 また、図書館イベントを開催し、ボランティア団体の活動の場を広げてまいります。

 最後に、教育に関する情報発信といたしまして、教育を取り巻く環境変化などの情報を市広報に「かめやま教育通信」として掲載するなど、市民の皆様が子どもたちの成長に関心を持っていただけるよう積極的に発信してまいります。

 以上、令和2年度教育行政の方針について、ご説明を申し上げました。何卒よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。