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意見書・決議

公開日 2018年09月26日

意見書
件名  義務教育費国庫負担制度の充実を求める意見書
本文

 義務教育費国庫負担制度は、憲法の要請にもとづく義務教育の根幹である「無償制」、「教育の機会均等」を保障し、「教育水準の維持向上」を図るため、国が責任をもって必要な財源を措置するとの趣旨で確立された制度です。義務教育の成否は、教職員の確保、適正配置、資質向上及び教育環境整備等諸条件の水準保障に負うところが大きく、そのために必要な財源を安定的に確保することが不可欠です。平成29年4月の義務教育費国庫負担法の一部改正・施行においても、学齢を経過した者に対する夜間等に設定する教育課程の実施のために配置される教職員が対象に加わるなど、制度の充実が図られてきています。
 しかし、1985年に国庫負担の対象外となった教材費等は、一般財源としての措置のままであり、このことは、教育環境整備に係る様々な面で都道府県間での大きな格差を生じさせている一つの要因になっていると考えられます。学校図書館の蔵書数の標準を満たしている公立小中学校の割合や、教育用コンピュータ機器端末の整備状況における都道府県格差は、文部科学省の諸調査においても明らかとなっており、三重県内においても地域間格差が見られます。とりわけ、教育用コンピュータ機器端末の整備については、早急かつ一定の水準を等しく担保しながら進められるべきであり、先般の学習指導要領等改訂において、小学校英語やプログラミング教育等が導入されていく中、まさに教育行政全体としての急務かつ国としての責務と考えられます。しかしながら、その全国水準の現状は、教育基本法により定められている「第2期教育振興基本計画(2013)」に掲げた目標値にも及んでいません。そのような中、新たに示された「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022)」では、より高い水準の目標値が掲げられましたが、引き続き一般財源による地方財政措置となっています。
 これまでの教育環境整備に係る様々な整備計画の進捗とその結果を見るに当たり、義務教育の水準が安定的に確保されるためには、一般財源ではなく、国庫負担金による財源確保の対象の拡大、さらにはその増額が極めて重要と考えるところです。
 未来を担う子どもたちの「豊かな学び」を保障することは、社会の基盤づくりにとって極めて重要なことです。義務教育については、国が責任を果たすとの理念にたち、教育に地域間格差が生じないよう、必要な財源を確保する義務教育費国庫負担制度の存続はもとより制度の更なる充実が求められます。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

1.義務教育の根幹である「無償制」、「教育の機会均等」を保障し、「教育水準の維持向上」を図るため、国の責務として必要な財源が確保されるよう、義務教育費国庫負担制度の更なる充実を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 平成30年9月26日

 

意見書
件名  教職員定数改善計画の策定・実施と教育予算拡充を求める意見書
本文

 2017年、「義務標準法」が改正され、小中学校等における「障がいに応じた特別の指導」や「日本語能力に課題のある児童生徒への指導」のための教員が基礎定数化されました。
 しかしながら、学級編制については、2011年に小学校1年生における標準が40人から35人に引き下げられて以降、法改正による引き下げはされておらず、国際的な比較においても高い上限値の基準といえます。また、1クラス当たりの児童生徒数においても、日本は小学校27人、中学校32人と経済協力開発機構(OECD)加盟国平均(小学校21人、中学校23人)を大きく上回っています。(2017年 OECD公表値)
 新学習指導要領等への移行及び全面改訂の時期をむかえた今、児童生徒の創造性や考える力を培う授業への転換を図り、子どもたちの自己実現に向けた主体的、協働的な「豊かな学び」を実現するため、教職員がよりきめ細かく児童生徒一人ひとりと向き合うことのできる環境整備の第一の手立ては、教職員定数を計画的に改善することに他ならないと考えます。
 また、「学校における働き方改革に関する緊急対策」(2017年 文部科学省)においても、その実現に向けた必要な環境整備として、人的措置の充実について言及しています。さらに、教員のストレス調査の分析結果(2017年 文部科学省)では、教員のストレス状態の特徴として、「量的負荷が高く、メンタルヘルス不良状態」、さらに、「勤務時間の長さと状態不良傾向に有意な相関がある」とされています。これらのことからも、教職員が心身ともにゆとりを持って目の前の子どもたちをはじめ、日々の教育活動と向き合える環境を創り出していくことは、子どもたちの「豊かな学び」の保障につながる土台として重要であり、そのためにも、教職員定数改善計画の策定と実施が強く望まれるものです。
 一方、日本の教育機関に対する公財政支出は、対GDP比約4.4%で、OECD加盟国平均(5.2%)に未だに及んでいません。そのような中、今回の新学習指導要領等への改訂には、小学校英語科や「特別の教科 道徳」をはじめ、教科等の新設などの多くの「改革」が盛り込まれ、教育現場には、教材・教具等の物的な充実はもとより学校運営にかかる予算の充実が今以上になされるべきと考えます。公財政として措置される教育予算を拡充し、教育条件整備を進めていくことが、山積する教育課題の解決へとつながり、そしてそれらは、子どもたち一人ひとりの「豊かな学び」を保障することにつながっていくと考えます。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

1.子どもたちの「豊かな学び」の保障に向け、教職員定数改善計画の策定・実施と教育予算の拡充を行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 平成30年9月26日

 

意見書
件名  防災対策の充実を求める意見書
本文

 「南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)」では、東海地方が大きく被災した場合、三重県内の避難者数は、地震発生翌日で約35~56万人にのぼり、1か月後においても約10~20万人が避難所生活を続けることになると推計されています。
 また、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)では、多くの学校が避難所となりました。地域の避難所として、耐震・耐火性などの安全対策、避難者の生活を支えるトイレや発電設備、飲料水の確保等が求められます。
 しかしながら、「体育館の照明や内壁の落下等により、避難所として使用するには危険」、「トイレまでの動線に段差や階段があり、車椅子使用者等への対応が困難であった」などの課題も報告されています。
 2018年4月現在、県内の公立学校のうち、9割以上に当たる540校の学校が避難所指定を受けています。しかし、防災関係施設・設備の設置率は、屋内運動場多目的トイレ28.4%、自家発電設備等71.5%、貯水槽・プールの浄水装置等69.2%など、十分であるとは言えません。また、非構造部材の耐震化対策のうち、学校施設の屋内運動場等の天井等の落下防止対策は、県立学校については2019年度に対策を完了する見通しですが、小中学校ではその年度までには完了しない見込みとなっています(2018年4月現在、公立小中学校13棟、県立学校42棟で未完)。さらに、窓ガラスや外壁などの落下及び飛散防止対策は、実施率22.3%と低い状況となっており、早急な対策実施が強く求められます。
 また、三重県内の津波による浸水が予測される地域等に所在する学校は、公立小中学校で120校(23.4%)となっており、その大多数が避難所に指定されています。高台移転や校舎等のかさ上げ工事等の対策が必要とされる中、未だ具体的な見通しは示されていません。過去の災害に学び、最善の備えを整えていくという考えのもと、防災に関わる施策がさらに充実されることを強く望むところです。
 加えて、先般の大阪北部地震でのブロック塀の倒壊による被害を受け、避難所機能に関わる部分以外においても、学校施設の老朽化等に伴う安全性の低下を危ぶみ、早期の安全点検と対策の充実を求める声も高まっていると言えます。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

1.子どもたちの安心・安全を確保するため、巨大地震等の災害を想定した防災対策の充実を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 平成30年9月26日

 

意見書
件名  子どもの貧困対策の推進と就学・修学支援に関わる制度の拡充を求める意見書
本文

 厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2016年公表)によると、「子どもの貧困率」は 13.9%、およそ子ども7人に1人の割合で貧困状態にあるとされています。また、子どもがいる世帯のうち、ひとり親など大人が1人の世帯の相対貧困率は50.8%と、大人が2人以上いる世帯(10.7%)より著しく厳しい経済状況におかれています。「子供の貧困対策に関する大綱(2014年閣議決定)」における基本的な方針の筆頭に「貧困の連鎖の解消」が掲げられているとおり、その連鎖を断ち切るための教育に係る公的な支援は、きわめて重要であると考えます。
 学校をプラットフォームとした子どもの貧困対策においては、さまざまな生活背景から課題を抱えた子どもたちに対して、教育相談などを充実させる取り組みや、学校だけでは解決が困難な事案について関連機関と連携した支援を行うなどの取り組みが今以上に進められていくことが必要です。心理や福祉の専門職であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の更なる拡充が求められています。また、地域社会においても生活困窮者への自立支援の取り組みが進む中、児童生徒への学習支援事業や「子ども食堂」等の子どもの居場所づくりに関わる取り組みが進められています。公的な人的措置や経費負担等、社会全体としての支援の充実が求められます。
 日本における大学等の高等教育段階での総教育支出のうち、66%が私費負担で賄われ、OECD平均の30%を大きく上回っています。(OECD「図表でみる教育2017」)。さらに、高等教育の授業料は国際的な比較において、「最も高い水準の国の一つである」とされています。また、子どもの進学率において、ひとり親世帯(高校等93.9%、大学等23.9%)は全世帯(高校等96.5%、大学等53.7%)を下回っている状況です。
 そのような中、2017年度から、高等教育段階において、国による給付型奨学金が創設され、2018年度より本格実施となりました。また、先般の生活保護法の改正に伴い、大学及び専門学校への進学準備給付金が創設されました。しかし、「学生生活調査結果」(2018年3月)においては、「貸与型奨学金の返還にかかる負担」を理由に受給申請を諦めている学生が増えている実態が指摘されています。また、高等学校等就学支援金制度においては、修業年限による支給制限の緩和など制度の拡充が求められています。
 貧困の連鎖を断ち切り、経済格差を教育格差に結びつけないために、就学・修学支援に関わる制度・施策のより一層の充実が求められています。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

1.すべての子どもたちの学ぶ機会を保障するため、子どもの貧困対策の推進と就学・修学支援に関わる制度を拡充すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 平成30年9月26日

 

意見書
件名  (仮称)ウインドパーク布引北風力発電事業の中止を求める意見書
本文

 現在、三重県亀山市、津市、伊賀市にまたがる布引山地北部の尾根に、大規模な風力発電所を建設する計画が進められています。
 風力発電所の建設は、従来から「超低周波音及び低周波音と反響音などによる人体への影響」や「土砂災害のおそれ」、「自然生態系への影響」、「地域過疎化のおそれ」など様々な問題が指摘されております。
 今春、亀山市内の「加太の自然を守る会」から、「(仮称)ウインドパーク布引北風力発電事業」の中止を求める周辺住民の署名が亀山市長及び三重県知事に提出されました。
 当事業計画は、風力発電機を最大40基設置するものでありますが、当市の加太地区は、四方を山々に囲まれたすり鉢状の地形であり、予想以上に超低周波音及び低周波音と反響音の影響を受けることや、加太小学校及び加太保育園から風車までの距離が非常に近いことから、児童・園児への健康被害も懸念されるところです。
 加太地区を含め、事業計画地は山あいの自然豊かな地域です。このすばらしい環境のもとで子育てを希望する方々も増えてきておりますが、この風力発電事業の進捗に伴い、周辺地域の過疎化に拍車がかかることが危惧されます。
 さらに、事業開始後は、計画地の生態系が変化し、鹿、猪、猿等による農作物の被害の拡大や希少生物の個体数の減少なども予想されます。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

1.株式会社シーテックの「(仮称)ウインドパーク布引北風力発電事業」をはじめとする布引山地北部尾根付近への風力発電事業者による事業を中止すること。

2.住民合意による環境影響評価の進め方への見直しを行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 経済産業大臣 環境大臣
可決日 平成30年9月26日

 

意見書
件名  農業振興地域の農用地指定の見直しと農業振興施策の充実を求める意見書
本文

 亀山市では、市街地や山林地帯を除いた約7,200haが農業振興地域として指定されており、その内、農用地は約2,300haを占めています。
 農業振興地域は、農業生産の場として、優良農地の保全・確保を図ることとされていますが、近年農業は、農業従事者の高齢化や後継者不足等により、耕作放棄地が増加しているほか、農用地区域内の農地でも農用地除外され、宅地化をはじめ農地以外の目的に利用されるようになり、農業の集約化が崩れるなど、その経営が非常に困難な状況にあります。
 このように、時代の変化とともに農業が衰退し、農業従事者の農地以外の土地利用に対する意識は高まり、農用地除外の要望が増えてきている状況にあります。
 そのような中、能褒野地区については、優良農地が多数存在する地区として、農業振興地域に指定され、長年農業と共に歩んできましたが、現在では農業が衰退し、その継続が困難なケースも出てきており、合併以降2度にわたり集団で農用地除外の申請が行われていますが、いずれも除外は許可されず、また異議申立ても棄却されるなど、地域にとっては厳しい裁定結果となっています。
 市は、その理由を、当該地域は優良農地であり市全体の農業を守るためとしていますが、一方で、川合地区における大型商業施設開発に伴う農用地除外は、明確な利用目的があれば除外するとし、そこには「農業を守る」という視点は全く存在していません。また、過去に農用地除外が行われた土地が、未だに放置されているなど、市の実態把握の甘さも浮き彫りになっています。
 さらに、この地域では住宅開発等が進んでおり、農薬や作業音、除草剤散布、土による道路の汚れ等に対して近隣住民からの苦情があり、農業振興地域でありながら農業従事者が農作業を制限されるなどの事態が起こっています。
 また、農用地であるが故に土地の評価額が低く、土地を担保にした融資を受けることが困難で、新たな設備投資を行うこともできず、農用地であることが農業を行っていく上でのデメリットにさえなっています。
 このような市内の農業を取り巻く環境を踏まえ、市におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

1.市内の農業従事者や地権者の要望・意見を十分に理解したうえで、農業振興地域全域にわたり実情に即した農用地指定の見直しを行うこと。

2.耕作放棄地の増加や後継者不足等の課題解決と農業従事者の経営安定化に向け、農業を守るために有効な施策を講じること。

提出日 亀山市長
可決 平成30年9月26日