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意見書・決議

公開日 2016年09月26日

意見書
件名

義務教育費国庫負担制度の存続と更なる充実を求める意見書

本文

 義務教育費国庫負担制度は、義務教育の根幹である「無償制」、「教育の機会均等」、「教育水準の維持向上」を保障するため、国が必要な財源を保障するとの趣旨で確立された制度です。1985年以降、国と地方の役割分担・財政状況等をふまえて、義務教育費国庫負担金の一般財源化が推し進められ、2004年までに教材費や旅費などが一般財源化されました。公立小中学校等の教職員給与費については、教職員の確保と適正配置のため、国庫による負担がなされてきましたが、2006年から国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられました。
 そのような中、義務教育にかかわる公的支出に、各自治体間での差異が生じています。例えば、1985年に一般財源化された教材費のうち図書費については、「学校図書館図書標準」が国によって定められています。しかしながら、三重県においては、実際にその標準を満たしている公立小中学校は、小学校で46.9%、中学校で27.6%に留まっています。
 2020年度からの導入が検討されている「デジタル教科書」については、検討会議の中間まとめにおいて、「無償措置の対象とすることは、直ちには困難である」ことが示されており、導入にあたっては「教材費なりの形で保護者の一部負担となる可能性も考えられる」としています。
 未来を担う子どもたちの「豊かな学び」を保障することは、社会の基盤づくりにとって極めて重要なことであり、その時々の地方財政状況に影響されることのないよう、義務教育費国庫負担制度の存続と更なる充実が求められます。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

1.義務教育の根幹である「無償制」、「教育の機会均等」、「教育水準の維持向上」を保障するため、国の責務として必要な財源が確保されるよう、義務教育費国庫負担制度を存続し、更なる充実を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 総務大臣財務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 平成28年9月26日

 

意見書
件名

教職員定数改善計画の策定・実施と教育予算拡充を求める意見書  

本文

 2011年4月の「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(標準法)」改正により、小学校1年生の35人以下学級が実現し、2012年には、法改正による引き下げではないものの、小学校2年生への実質的な拡大が実現しました。三重県では、現在、小学校1・2年生の30人学級、中学校1年生の35人学級が実施されています(いずれも下限25人)。しかし、その他の学年については、標準法にしたがって、40人学級が基本となっています。経済協力開発機構(OECD)加盟国と比較すると、日本の1クラス当たりの児童生徒数は小学校27人、中学校33人と、平均(小学校21人、中学校24人)を大きく上回っています。
 教員が教科指導・生徒指導・部活動指導等を一体的に行う「日本型学校教育」は国際的にも高く評価されている一方、複雑化・多様化する課題が教員に集中しています。増加傾向にある日本語指導などを必要とする子どもたちや「障がい」のある子どもたちに対して、個々の状況にあわせた対応も求められています。教職員の加配定数は、そのときの財政状況に強く左右されます。教育の諸課題に対応し子どもたち一人ひとりに向き合うためには、少人数教育の推進を含む計画的な教職員定数改善によって、安定的な基礎定数を確保することが必要です。
 2012年における日本の教育機関に対する公財政支出は、対GDP比3.7%で、OECD加盟国平均(4.8%)に及びません。教育予算を拡充し、教職員配置の拡充も含めた教育条件の整備を進めていくことが、山積する教育課題の解決をはかり、子どもたち一人ひとりを大切にし、子どもたちの豊かな学びを保障することにつながります。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

1.子どもたちの「豊かな学び」の保障に向け、教職員定数改善計画の策定・実施と教育予算の拡充を行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 総務大臣財務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 平成28年9月26日

 

意見書
件名

防災対策の充実を求める意見書

本文

 「南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)」(2013年)では、東海地方が大きく被災した場合、三重県内の避難者数は、地震発生翌日で約35~56万人にのぼり、一か月後においても約10~20万人が避難所生活を続けることになると推計されています。
 東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)では、多くの学校が避難所となりました。地域の避難所として、耐震・耐火性などの安全対策、避難者の生活を支えるトイレや発電設備、飲料水の確保等が求められます。しかしながら、「体育館の照明や内壁の落下等により、避難所として使用するには危険」、「トイレまでの動線に段差や階段があり、車椅子使用者等への対応が困難であった」などの課題も報告されています。
 三重県では学校構造部材の耐震化が着実に進められており、小学校・中学校の一部を残すのみとなりました。一方、非構造部材の耐震化について、文部科学省は、国公立学校施設の屋内運動場等の天井等の落下防止対策について、2015年度までの速やかな完了を目指して取り組むよう、各教育委員会等に要請しました。しかしながら、2016年4月現在、県内小中学校で584棟中368棟、県立学校126棟中87棟について、対策が完了しておらず、昨年度中の全棟完了は実現しませんでした。
 また、県内の公立学校のうち、569校が避難所指定を受けているにもかかわらず、多目的トイレや自家発電設備等の設置率は約7割、貯水槽・プールの浄水装置等の設置率は約3割と、十分であるとは言えません。また、避難所となっている学校において、どのような初期対応が必要か、教職員が避難所運営にどうかかわるか等の議論も必要です。学校・家庭・地域が連携した、巨大地震等の災害を想定した防災対策の見直しや充実が急務です。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

1.子どもたちの安心・安全を確保するため、巨大地震等の災害を想定した防災対策の充実を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 総務大臣財務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 平成28年9月26日

 

意見書
件名    子どもの貧困対策の推進と就学・修学支援に関わる制度の拡充を求める意見書
本文

 厳しい経済・雇用情勢は、子どもたちの暮らしや学びに大きな影響を与えます。
 2012年における、日本のすべての教育支出に占める私費負担の割合は29.9%で、OECD平均の16.5%を大きく上回っています。
 全国で16.3%、6人に1人の子どもが貧困状態にあり(2012年度 厚生労働省)、三重県においても8.6人に1人の子どもが就学援助を受けています(2013年度 三重県)。厳しい状況におかれた子どもたちに寄りそう教育や、一人ひとりの人権・学習権を保障する支援策が喫緊の課題となっています。
 このような中、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が2014年1月に施行され、8月には「子供の貧困対策に関する大綱」が閣議決定されました。
 今後、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等の配置拡充等、国による支援策が必要です。
 高等学校段階においては、入学料・教材費・部活動のための経費等の保護者負担は重く、「学びたくても学べない」という状況は依然大きな課題です。
 2014年度から高等学校等就学支援金制度が導入され、三重県内においては高校生等奨学給付金制度が導入されています。しかし、修業年限を超えて在籍する生徒には適用されない等の課題があります。
 高等教育段階における貸与型奨学金については、卒業後にその返還が大きな負担となっており、給付型奨学金の創設が強く望まれています。
 高等学校等就学支援金制度の充実、奨学金制度の改善などのより一層の支援策が必要です。
 家庭での経済格差を教育の格差につなげないよう、制度・施策のより一層の充実が求められています。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

1.すべての子どもたちの学ぶ機会を保障するため、子どもの貧困対策の推進と就学・修学支援に関わる制度を拡充すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 総務大臣財務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 平成28年9月26日

 

意見書
件名    介護保険制度における軽度者への福祉用具貸与・住宅改修の継続を求める意見書
本文

 平成27年6月30日、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太の方針2015)が閣議決定されました。この方針では、社会保障分野の歳出を重点的に削減するため、次期介護保険制度改革に向けて、「軽度者に対する生活支援サービス・福祉用具貸与等やその他の給付について、給付の見直しや地域支援事業への移行を含め検討を行う」ことが盛り込まれています。また、住宅改修についても原則自己負担化が財務省より意見されているところです。
 しかしながら、現行の介護保険制度による福祉用具のサービスは、介護支援専門員が作成する居宅サービス計画に基づき、福祉用具専門相談員が福祉用具サービス計画を作成し、これによって適切なサービスが提供され、高齢者自身の自立意欲を高め、介護者の負担軽減を図るという極めて重要な役割を果たしています。
 仮に、福祉用具、住宅改修の利用が原則自己負担になれば、手すり、歩行器等の利用が減ることにより、転倒、骨折などが発生しやすくなり、結果として介護度の重度化を招く恐れもあります。また、その結果、訪問介護等の人的サービスの利用が増大し、給付費の抑制という目的に反して、逆に給付費用の増大を招きかねません。さらに介護人材不足に拍車をかけることにもなります。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

1.今後の超高齢社会に向けて、軽度者向けの福祉用具、住宅改修の利用を、現行どおり介護保険の給付対象として継続すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 財務大臣 厚生労働大臣 社会保障・税一体改革担当大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 平成28年9月26日