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意見書・決議

公開日 2015年09月25日

意見書
件名

義務教育費国庫負担制度の存続と更なる充実を求める意見書

本文

 義務教育費国庫負担制度は、義務教育の根幹である「無償制」「教育の機会均等」「教育水準の維持向上」を保障するため、国が必要な財源を保障するとの趣旨で確立されたものであり、子どもたちが全国どこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが制度の趣旨です。
 1985年以降、義務教育費国庫負担金の一般財源化が押し進められ、2006年からは、国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられました。
 現在、義務教育費国庫負担金の対象外である教材費、旅費、高校教職員の給与費は、地方交付税として一般財源の中に組み込まれています。しかし、地方財政が厳しくなり、1985年に一般財源化された教材費は、国が定めた基準に対して実際に各地方で予算措置された比率(措置率)が年々低下しています。2007年度における措置率の全国平均は65.3%(三重県49.0%、東京都164.8%、秋田県26.9%)となっており、地域間格差も広がっています。2014年度、三重県内小中学校においては総額で約7億円が教材費として措置されましたが、これは地方交付税上の予算措置額の58.5%(各市町調べ)に留まっており、まだまだ低い状況です。
 未来を担う子どもたちの「豊かな学び」を保障することは、社会の基盤づくりにとって極めて重要なことであり、その時々の地方財政状況に影響されることのないよう、義務教育費国庫負担制度の存続と更なる充実が求められます。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

1.国の責務として「無償制」「教育の機会均等」「教育水準の維持向上」に必要な財源が確保されるよう、義務教育費国庫負担制度を存続し、更なる充実を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 平成27年9月25日

 

意見書
件名 教職員定数改善計画の策定・実施と教育予算拡充を求める意見書
本文

 三重県では、2003年度から小学校1年生の30人学級(下限25人)が実施されており、その後も小学校2年生の30人学級(下限25人)、中学校1年生の35人学級(下限25人)と他学年への弾力的運用等、拡充しています。少人数学級が実施されている学校では、「個の学習状況を把握しやすい」「実技教科での安全面への配慮が細やかになる」等の教職員や保護者の声があり、大きな成果を上げています。
 一方、国においては、2011年4月の「義務標準法」改正により、小学校1年生の35人以下学級が実現し、2012年には、法改正による引き下げではないものの、小学校2年生への実質的な拡大が実現しました。
 2015年度については35人以下学級の拡充が措置されず、教育課題に対応するための定数改善も十分とは言えない状況です。国際的に見ても、日本の1クラス当たりの児童生徒数は小学校で28人(OECD平均21人)、中学校で33人(同24人)と、平均を大きく上回っているのが現状です。
 自治体が見通しを持って安定的に教職員を配置するためには、国段階での国庫負担に裏付けされた定数改善計画の策定が必要です。一人ひとりの子どもたちへのきめ細かな対応や学びの質を高めるための教育環境を実現するためには、教職員定数改善が不可欠です。また、新しい学習指導要領により、授業時数や指導内容が増加しています。日本語指導などを必要とする子どもたちや「障がい」のある子どもたちへの対応、いじめ・不登校などの課題もあります。こうしたことの解決に向けて、少人数教育の推進を含む計画的な教職員定数改善が必要です。
6月2日の参議院文教科学委員会、3日の衆議院文部科学委員会においては、教育現場の実態に即した教職員定数の充実を求める決議が与野党全会一致で採択されています。
 また、2011年における日本の教育機関への公財政支出の対GDP比は3.6%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国中、データ比較が可能な30カ国において5年連続で最下位で、加盟国平均の5.3%に遠く及びません。教育予算を拡充し、教職員配置の拡充も含めた教育条件の整備を進めて行くことが、山積する教育課題の解決をはかり、子どもたち一人ひとりを大切にし、子どもたちの豊かな学びを保障することにつながります。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。

1.子どもたちの「豊かな学び」の保障に向け、教職員定数改善計画の策定・実施と教育予算の拡充を行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 平成27年9月25日

 

意見書
件名

防災対策の充実を求める意見書

本文  

 三重県では学校構造部材の耐震化が着実に進められており、小学校・中学校の一部を残すのみとなりました。
 一方、2012年9月4日、文科省は「学校施設における天井等落下防止対策の推進に向けて(中間まとめ)」を受け、国公立学校施設の屋内運動場等の天井等の落下防止対策については2015年度までの速やかな完了を目指して取り組むよう、各教育委員会等に要請しています。しかし2015年4月現在、屋内運動場等の天井等の落下防止対策については県内小中学校で100棟中8棟、県立学校132棟中1棟に留まっていますし、2015年度中の計画においても全棟の完了はできない見込みです。またそれ以外の非構造部材の耐震対策も、県内で2014年度末において、幼稚園で33.3%、小中学校で36.9%、高等学校で17.2%、特別支援学校で18.8%に留まっています。
 さらに三重県教育委員会の調査によると、2015年2月現在、公立小中学校と県立学校のうち、校内の備品等転倒落下防止対策が「すべてできている」は40.5%(前年度比16.3%増)、校内のガラス飛散防止対策が「すべてできている」は22.8%(同6.6%増)となっています。
 子どもたちの安心・安全の確保を迅速に進めるために、国としての財政措置が求められます。
 2012年8月29日、内閣府に設置された「南海トラフの巨大地震モデル検討会」は、第2次報告として、南海トラフで発生する巨大地震による津波高及び浸水域等の推計結果を公表しました。これによると、三重県鳥羽市では津波が最大27m、尾鷲・熊野市では最短4分で第一波が到達などとなっています。また、最大の死者数は約43,000人とされ、三重県が2005年に取りまとめた想定約4,800人を大きく上回るものとなりました。2013年5月28日に国の中央防災会議の作業部会が発表した南海トラフ巨大地震対策の最終報告では、ハード面の整備に加え、防災教育をはじめとする「事前防災」等の対策を具体的に実施すべきとしています。
 学校は、子どもたちをはじめ多くの地域住民が活動する場であり、地域の拠点です。災害時には県内の公立学校の91.3%が避難場所となる等、重要な役割を担っています。その安全確保は極めて重要であり、非構造部材への対策が急がれます。また、学校・家庭・地域が連携して災害から子どもを守る必要があり、巨大地震等の災害を想定した防災対策の見直しや充実が急務です。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。
    

1.子どもたちの安心・安全を確保するため、巨大地震等の災害を想定した防災対策の充実を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 平成27年9月25日

 

意見書
件名 子どもの貧困対策の推進と就学・修学支援に関わる制度の拡充を求める意見書
本文

 近年の厳しい経済・雇用情勢は、子どもたちの暮らしや学びに大きな影響を与えています。
 2011年度における、一般政府総支出に占める公財政教育支出の割合は9.1%であり、経済協力開発機構(OECD)加盟国でデータのある31カ国中、30位となっています(OECD平均12.9%)。他方、日本のすべての教育支出に占める私費負担の割合は30.5%で、OECD平均の16.1%を大きく上回っています。
 全国で16.3%、6人に1人の子どもが貧困状態にあり(2012年度 厚労省)、三重県においても8.9人に1人の子どもが就学援助を受けています(2012年度 三重県)。厳しい状況におかれた子どもたちに寄りそう教育や、一人ひとりの人権・学習権を保障する支援策が喫緊の課題となっています。
 このような中、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が2014年1月に施行され、8月には「子供の貧困対策に関する大綱」が閣議決定されました。
 今後、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等の配置拡充等、国による支援策が必要です。
 高等学校段階においては、入学料・教材費・部活動のための経費等の保護者負担は重く、「学びたくても学べない」という状況は依然大きな課題です。
 昨年度から高等学校等就学支援金制度が導入されました。また三重県内においては高校生等奨学給付金制度が導入されました。その一方で、貸与型の奨学金については、卒業後にその返還が大きな負担になっているという課題も出てきています。
 高等学校等就学支援金制度の充実、奨学金制度の改善などのより一層の支援策が必要です。
 家庭での経済格差を教育の格差につなげないよう、制度・施策のより一層の充実が求められています。
 よって、政府におかれては、下記の事項を実現されますよう強く要望いたします。


1.すべての子どもたちの学ぶ機会を保障するため、子どもの貧困対策の推進と就学・修学支援に関わる制度を拡充すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

提出先 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣 衆議院議長 参議院議長
可決日 平成27年9月25日